株式交換により株式譲渡した場合の譲渡所得等の特例

 株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の会社に取得させることをいう。居住者が、その有する株式(旧株)について、旧株を発行した法人の行った株式交換により株式交換完全親法人に対しその旧株の譲渡をし、かつ、その株式交換完全親法人またはその株式交換完全親法人との間に完全支配関係がある法人のうち、いずれか一の法人の株式(出資を含む)の交付を受けた場合には、その旧株の譲渡はなかったものとみなされる。

 また、株式交換に際し株主に交付しなければならない株式に一株に満たない端数が生じたため、端数相当の金銭が株主に交付されたときもこの特例の適用があるが、その交付された金銭は、一株に満たない端数の株式の譲渡があったものとして課税関係が生じる。次に、 居住者が有する旧株について、旧株を発行した法人の行った「特定無対価株式交換」で旧株を有しないこととなった場合には、旧株の贈与はなかったものとみなされる。

 上記の特例の対象となる「株式交換」は、法人の株主に、株式交換完全親法人または株式交換完全親法人との間に完全支配関係がある法人のうち、いずれか一の法人の株式以外の資産(その株主に対する剰余金の配当として交付された金銭その他の資産および株式交換に反対するその株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く)が交付されなかったものに限られる。

 上記の「特定無対価株式交換」とは、法人の株主に株式交換完全親法人の株式その他の資産が交付されなかった株式交換で、その法人の株主に対する株式交換完全親法人の株式の交付が省略されたと認められる株式交換として一定のものをいい、また、「株式交換完全親法人」とは、株式交換により他の法人の株式を取得したことによってその法人の発行済株式の全部を有することとなった法人をいう。

 なお、「株式交換」の場合の交付を受けた株式の取得価額は、株式交換により株式交換完全親法人に譲渡をした旧株の取得価額となり、「特定無対価株式交換」の場合、所有株式(特定無対価株式交換の直後に居住者が有する株式交換完全親法人の株式)の取得価額は、その所有株式の特定無対価株式交換の直前の取得価額に旧株の特定無対価株式交換の直前の取得価額を加算した金額となる(無対価のため交付を受ける株式はない)。