路線価は7月1日に公表、公示地価上昇の影響に注目

 国税庁はこのほど、2024年分の路線価は、7月1日(月)11時から全国の国税局・税務署で公表される予定であることを発表した。路線価は、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるもの。昨年7月に公表された2023年分の路線価では、標準宅地の前年比の変動率の平均は+1.5%と2年連続で上昇した。今回は、新型コロナ感染症の影響の沈静化やインバウンドの増加などもあり、路線価の動きが注目される。

 路線価は、1月1日を評価時点に、公示価格の8割程度が目安とされている。今年1月1日時点の公示地価は国土交通省が今年3月に公表したが、商業・工業・住宅の全用途(全国)で2.3%のプラスと3年連続で上昇、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めている。住宅地は2.0%プラス、商業地も3.1%プラスと、ともに3年連続で上昇した。こうした公示地価の状況のなか、路線価がどうなるのか注目されるところだ。

 ところで、この路線価の公表日は、古くは8月1日だったが、2008年分から7月1日と1ヵ月も早まった。相続税申告に必要な路線価の公表が早くなることは納税者にとって歓迎すべきことだったが、一方で、同年からは紙による路線価図等(冊子)を国税局・税務署に備え付けないことになった。公表日が1ヵ月短縮された理由は、冊子での路線価図等の制作をやめたことで、その作業時間分が浮いたことにあった。

 公表日の短縮で納税者の利便性も向上したが、国税当局も、IT化、ペーパレス化によって大きなコスト削減ができたわけだ。現在、国税局や税務署の窓口には、路線価図等閲覧用のパソコンが設置されている。混雑時は待つ必要も出てくるが、自宅や会社のパソコンから国税庁のホームページの「路線価図等の閲覧コーナー」にアクセスすれば、従来どおり、全国の過去7年分の路線価図等を見ることができる。

 なお、国税庁では、路線価公開初日から数日間は、アクセス集中により閲覧しにくい状態となることがあることから、注意を呼びかけている。また、路線価図等の見方等が分からない場合には、最寄りの税務署に電話をかけて、自動音声に従って「1」を選択すれば電話相談センターにつながるので、ご相談を……。

 国税庁ホームページの路線価の閲覧は↓

https://www.rosenka.nta.go.jp