2024年の「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化

 東京商工リサーチが発表した「2024年企業の人手不足に関する調査」結果(有効回答数4619社)によると、「正社員不足」の企業は約7割(69.3%)に達し、前年(66.5%)からさらに悪化した。2024年春闘では大企業の満額回答が相次いだが、一方で、賃上げ圧力の弱い中小企業が置かれた状況は厳しさを増している。人手不足で人材需給に差が開くなか、新規採用や定着率向上のために、企業の負担が増加することが懸念される。

 正社員不足は、「非常に不足している」の11.8%と「やや不足している」の57.5%を合わせ、「正社員不足」の企業は69.3%を占めた。「充足」は26.0%、「やや過剰」は4.4%、「非常に過剰」は0.2%だった。規模別では、大企業の「正社員不足」が77.6%に対し、中小企業は68.4%で、9.2ポイントの差がついた。「充足」は大企業の18.2%に対し、中小企業は26.7%で、中小企業が8.5ポイント上回った。

 一方、「非正規社員不足」は、「非常に不足している」の5.1%と「やや不足している」の33.5%を合わせて38.7%だった。「正社員不足」の69.3%を30.6ポイント下回り、非正規社員への依存度は落ち着いている。また、「充足」は56.9%、「やや過剰」は3.9%、「非常に過剰」は0.3%だった。規模別では、大企業の「非正規社員不足」が42.7%なのに対し、中小企業は38.2%で、大企業が4.5ポイント上回った。

 産業別では、「正社員不足」が最も高かったのは「建設業」で84.4%、次いで、「運輸業」の77.9%、「情報通信業」の76.3%の順。2024年問題に直面する建設業と運輸業に加え、DX推進などで人手不足が慢性化する情報通信業で正社員不足が深刻な傾向にある。「非正規社員不足」は、割合が最も高かったのは「小売業」で、半数近い48.9%。次いで、「農・林・漁・鉱業」の48.3%、「サービス業他」の48.0%の順だった。

 人手不足の割合をさら細かい業種別(中分類、母数10以上)でみると、 「正社員不足」のトップは「道路旅客運送業」の100.0%。以下、「宿泊業」の92.8%、「設備工事業」の86.0%と続く。「非正規社員不足」は、「宿泊業」が100.0%で最大。次いで、「道路旅客運送業」の90.0%、「飲食店」の88.0%の順。「正社員不足」では建設業の3業種すべてが上位10業種にランクインしたが、「非正規社員不足」では圏外だった。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198512_1527.html