人材状況の懸念は「高齢化の進展」と「若手が不足」

 信金中央金庫が発表した「中小企業における人材戦略についての特別調査」結果(有効回答数1万3294社)によると、現在の人材の状況について懸念していること(3つまで回答)は、「高齢化の進展」(46.4%)と「若手が不足」(43.6%)の2つが他の選択肢と比べて多くの回答を集めた。この2つの回答については、業種や規模を問わず回答割合が高い。以下、「熟練者が不足」(17.6%)「営業で働く従業員が少ない」(13.9%)が続いた。

 人材に関する今後の対応策(3つまで回答)は、「中途採用の強化」が47.0%と最も高くなり、すべての地域、規模、業種で、「新卒採用の強化」(24.8%)を上回った。以下、「シニア雇用(定年・再雇用)の促進」(14.2%)、「女性活躍推進」(12.4%)、「非正規社員の活用」(11.4%)が続いた。対して、「特に対応策を検討していない」は33.4%。規模別にみると、規模が小さいほど「特に対応策を検討していない」の割合が高い傾向にあった。

 職場内で実地する訓練(OJT)以外の教育訓練の実施状況(3つまで回答)については、「実施していない」が51.6%と過半数を占めた。特に規模の小さい企業を中心に、OJT以外の教育訓練が低調な様子が見て取れる。対して、OJT以外の訓練を実施している企業においては、「社内研修会や勉強会の実施(勤務時間内)」が27.6%と最も高く、以下「資格取得等、自己啓発費用の会社負担」が19.3%で続いた。

 2024年中の賃金引上げ状況(実施予定を含む、定期昇給分や賞与、一時金は除く)については、「2%以上の賃上げ実施」は24.2%と、全体の約4分の1にとどまった。従業員50人以上の大規模の階層でも、40%程度にとどまっている。対して、「2%未満の賃上げ実施」は24.7%と、こちらも全体の約4分の1にとどまった。対して、「賃上げ実施せず」は51.0%と、半数以上にのぼっている。

 2024年問題(建設業、自動車運転業、医師などでの残業時間の上限規制)の影響は、「大きく悪影響がある」(6.6%)と「やや悪影響がある」(25.7%)の計32.3%で悪影響があると見込んでいる。対して、好影響を見込む企業は2%弱にとどまる。また、「影響はない・わからない」が65.8%と全体の約3分の2を占めた。対応状況は、「対応を取った」の10.3%に対し、「必要性は感じているが対応していない」が38.0%を占めた。

 同調査結果は

https://www.scbri.jp/reports/businesscycle/20240415-13-4-2.html