関税法違反、不正薬物の件数は増加も押収量は減少

 財務省がこのほど公表した2022年上半期の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況によると、不正薬物全体の摘発件数は509件(前年同期比22%増)、押収量は約606キログラム(同▲13%減)と、摘発件数は増加したものの、押収量はやや減少した。不正薬物とは、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう(錠剤型薬物を除く)。

 覚醒剤の摘発件数は98件(前年同期比約2.7倍)、押収量は約156キログラム(同▲73%減)となり、摘発件数は増加したが、押収量は減少した。密輸形態別にみると、全体の摘発件数の50%・49件(前年同期比約2.2倍)が商業貨物を利用した密輸(全て航空貨物)で、押収量についても103キログラム(同▲82%減)と全体の66%を占めた。次いで、国際郵便物を利用した密輸が45件(同約3.2倍)、41キログラム(同44%増)で続いた。

 覚醒剤の密輸仕出地別では、摘発件数ではアジア地域(タイ、マレーシア、中国(含香港マカオ)、ベトナム)が45件で全体の46%と半数近くを占める。これに北米(15件、構成比15%)と中東(12件、同12%)、欧州(9件、同9%)を加えるとほぼ8割となる。押収量では、アジア地域が49キログラムで構成比31%、中東が21%、北米が18%、アフリカが15%、欧州が11%をそれぞれ占める。

 大麻の摘発件数は79件(前年同期比▲35%減)と減少したが、押収量は約403キログラム(同約4.6倍)と大幅に増加した。大麻のうち、大麻草の摘発件数は29件(同▲52%減)と半減したが、押収量は約306キログラム(同約25倍)と大幅増加。大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む)は、摘発件数が50件(同▲17%減)と減少したが、押収量は約94キログラム(同26%増)と増加した。

 麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は102件(前年同期比▲11%減)と減少したが、押収量は約35キログラム(同約2.2倍)と増加。このうち、コカインの摘発件数は10件(同▲9%減)と減少したが、押収量は約11キログラム(同約2.7倍)と増加。MDMA等の摘発件数は40件(同8%増)と増加したが、押収量は約6万7千錠(同▲22%減)、その他の形状が約6キログラム(同▲26%減)とともに減少した。

 金地金密輸入事犯の摘発件数は6件(前年同期比3倍)、押収量は約26キログラム(同約6.3倍)と、摘発件数・押収量ともに大幅に増加した。金地金の密輸形態別摘発実績をみると、航空貨物を利用した密輸が24件、また、仕出地別摘発実績では、香港が24件と、それぞれほとんどを占めている。

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