コロナ関連融資を借入企業の12.2%が「返済に不安」

 帝国データバンクが発表した「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1935社)によると、新型コロナ関連融資について、「借りていない」企業は45.8%だった一方、「現在借りている」企業は49.2%と半数近くとなった。規模別では、「小規模企業」で「現在借りている」が57.7%、「中小企業」で54.1%となり、「大企業」(23.4%)をそれぞれ34.3ポイント、30.7 ポイント上回った。

 約5割を占めたコロナ関連融資を「現在借りている」企業を業種別にみると、原材料高や円安の影響を受けた「家具類小売」が77.8%と最も高かった。さらに、「旅館・ホテル」(75.9%)や「飲食店」(74.2%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(73.7%)で7割を超えており、個人消費に関連した業種において、新型コロナ関連融資が事業継続の重要な資金となっていた様子がうかがえる。

 新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業の返済状況は、8月時点で融資の「5割以上」を返済しているのは13.3%にとどまった。現在借りている企業の32.6%と3社に2社は返済を開始しているものの、そのうち「3割未満」の企業が42.3%を占めている。また、企業の32.6%は「未返済や今後返済開始」となっており、新型コロナ関連融資の返済は、これから本格化すると見込まれている。

 新型コロナ関連融資を借りている企業の今後の返済見通しは、85.5%が「条件通り、全額返済できる」としたが、「返済が遅れる恐れがある」(5.2%)や「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」(4.8%)、「返済のめどが立たないが、事業は継続できる」(1.1%)、「返済のめどが立たず、事業を継続できなくなる恐れがある」(1.0%)など、今後の「返済に不安」を抱いている企業は12.2%と1割を超えた。

 返済に不安を感じている企業は2022年2月時点の9.0%から3.2ポイント上昇しており、返済に窮し事業継続が困難になる企業の拡大が懸念される。新型コロナ関連融資の返済に不安感を抱く企業を業種別にみるとでは、新型コロナによる影響を大きく受けた「旅館・ホテル」が39.7%で最も高かったものの、2月時点(51.5%)より低下。一方で、「飲食店」(2月時点 28.6%→8月時点34.7%)は3割台へと上昇している。

 なお、新型コロナ関連融資以外で活用した支援策(複数回答)では、「雇用調整助成金の利用」が 29.1%で最も高かった。次いで、売上高が50%以上減少した企業を対象とする「持続化給付金」が25.7%で2割台となった。以下、「IT導入補助金」(10.8%)、「小学校等の臨時休業にともなう保護者の休暇取得支援」(8.9%)、「小規模事業者持続化補助金」(8.7%)などが続いた。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220909.pdf