人手不足感は前年から増加も新型コロナ前より和らぐ

 帝国データバンクが26日に発表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1003社)によると、現在の従業員の過不足状況は、正社員について「不足している」と回答した企業は 37.2%となった。新型コロナウイルスの感染拡大による1回目の緊急事態宣言の最中だった2020年4月からは6.2ポイント増加したものの、新型コロナの影響を受けていない2019年4月と比較すると13.1ポイント下回っている。

 「不足している」企業を規模別にみると、「大企業」で 42.0%(前年同月比3.3ポイント増、2年前比18.0ポイント減)と4割超の企業で不足と感じているが、60.0%を記録した2年前からは大きく低下。「中小企業」は36.1%(同6.8ポイント増、同11.8ポイント減)、「小規模企業」は33.9%(同5.5ポイント増、同9.0ポイント減)と、全ての規模で前年同月より人手不足割合は増加がみられるが、2年前と比較すると大きく低下していた。

 業種別にみると、「メンテナンス・警備・検査」(55.6%)と「教育サービス」(55.6%)が最も高かった。以下、「豪雨災害の復旧工事が多く発注され、公共土木部門が大変忙しく人手不足が顕著」(一般土木建築工事、岐阜県)との声が挙がった「建設」(54.5%)や、デジタル化の促進に伴いIT人材の不足が目立つ「情報サービス」(54.1%)のほか、「農・林・水産」(53.5%)、「自動車・同部品小売」(50.0%)が5割台で上位に並んだ。

 一方、非正社員が「不足している」と回答した企業は20.6%となり(前年同月比4.0ポイント増、2年前比11.2ポイント減)、4月としては 2017 年(29.6%)以来の2割台となった。「不足」企業を規模別にみると、「大企業」は 21.3%、「中小企業」は 20.5%、「小規模企業」は 19.9%。企業規模を問わずおよそ2割の企業で人手不足を実感し、正社員と同様全ての規模で前年同月より増加も、2年前に比べ10ポイント以上低下していた。

 業種別にみると、「飲食店」が 50.0%(前年同月比33.6ポイント増、2年前比28.6ポイント減)でトップも、2年前(78.6%)と比べ、人手不足の割合は大幅に低下。次いで、「教育サービス」(46.2%、同21.2ポイント増、同15.8ポイント増)、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(45.2%、同10.1ポイント減、同10.9ポイント減)、「メンテナンス・警備・検査」(42.8%、同7.6ポイント増、同13.4 ポイント減)が4割台で続いた。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210506.html