上場223社が新型コロナウイルスの影響や対応を発表

 東京商工リサーチが発表した「上場企業の新型コロナウイルス影響調査」結果によると、「決算短信」や「業績予想の修正」、「お知らせ」などで新型コロナウイルス関連の影響や対応を発表した上場企業は、2月14日時点で合計223社に達した。また、自主的な情報開示はないが、同社の独自調査で工場や事務所、店舗の稼働休止など何らかの影響が判明した上場企業は28社で、合計251社が新型コロナウイルスの影響を受け、対応に追われている。

 これらの251社のうち、決算短信や業績予想の修正などで新型コロナウイルスの影響に言及したのは193社だった。このうち、45社(構成比23.3%)が、売上高や利益の減少など業績下振れ要因として新型コロナウイルスの影響を挙げた。このほか148社(同76.6%)が「影響の懸念がある」、もしくは「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」とした。

 中国で介護関連の子会社を保有するFHTホールディングスは、中国子会社が稼働できず連結会計処理の遅れから2019年12月期決算短信の公表が遅れると発表。また、金型部品メーカーのパンチ工業も、「中国事業を含むグループ全体への影響度合いを見極める」として次期の中期経営計画公表時期の延期を明らかにした。新型コロナウイルスの収束時期が依然として見通せず、企業業績への悪影響が大きな懸念材料になっている。

 251社の業種別では、「製造業」が156社(構成比62.1%)で約6割を占めた。中国国内の工場や事業所は一部で再開しているが、サプライチェーンの乱れや従業員の不足が深刻化している。日産自動車は、中国からの部品調達が滞り、九州の完成車工場の稼働を一時停止し、減産に踏み切った。東芝は、2月14日の決算発表の会見で「一部の工場は再開したが、従業員の戻りが悪い」と、生産体制への復旧に懸念を表明した。

  次いで、「サービス業」24社、「小売業」19社、「卸売業」17社と続く。ワシントンホテルは、「中国関連の予約キャンセルのほか、今後も集会やイベント等の中心が懸念」として、2020年3月期の業績を下方修正。また、三越伊勢丹HD、エイチ・ツー・オーリテイリング、松屋の百貨店は、1月の売上高減少を公表。インバウンド需要の減少などによる、観光・宿泊関連を含むサービス業や小売業などの内需型業種への影響が表面化してきた。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200217_03.html