ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく応援したいどの都道府県・市区町村に対する寄附でも対象に、寄附金のうち2000円を超える部分について、一定上限まで原則、所得税・個人住民税から全額が控除される。その分、寄附者が多く住む自治体ほど減収額が大きくなるわけだが、総務省が27日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査」では、2018年度課税における減収額が前年度の約1.37倍にのぼることが明らかになった。
調査は、昨年1月から12月までの間に行われたふるさと納税について、2018年度課税で控除対象となる額や寄附者数をとりまとめたもの。ふるさと納税の寄附額は前年度の2566億1000万円から3481億9000万円へと約1.36倍に、控除額は同1783億2000万円から2447億7000万円へと約1.37倍に、寄附者数は同227万1000人から295万9000人へと約1.30倍になり、いずれも大きな伸びを示していることが分かった。
都道府県別にみると、「東京都」が断然トップ。東京都の住民の寄附者数は63万8405人でそのふるさと納税額(寄附金額)931億1000万円に対し控除額は645億7600万円にのぼる。続いて「神奈川県」が寄附者数31万6128人でふるさと納税額354億1900万円、控除額は257億2100万円、「大阪府」が寄附者数27万2355人でふるさと納税額292億8000万円、控除額は211億9200万円と続いている。
このほか、「愛知県」(寄附者数21万6035人、寄附額249億4900万円、控除額179億6100万円)、「千葉県」(同16万9515人、181億2900万円、132億7600万円)などが寄附者数・額で続いており、大都市部から地方部への税流出という傾向が裏付けられるものとなっている。都市部の住民が地方に寄附すると地方財政は潤うが、一方で本来徴収できたはずの住民税が減る都市財政は苦しくなり不満が高まっている。
なお、2017年度分のふるさと納税ワンストップ特例制度の適用者は110万2000人(前年度比42.7%増)、そのふるさと納税額は約684億円(同44.9%増)、控除額は約649億円(同44.9%増)といずれも大きく伸びた。以前はふるさと納税で税金の控除を受けるためには確定申告が必要だったが、2015年4月からはワンストップ特例制度が導入され、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内等であれば、確定申告が不要となっている。
ふるさと納税に関する現況調査は↓
http://www.soumu.go.jp/main_content/000566292.pdf