「今の会社で定年まで働きたい」若手社員は3割未満

 厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、入社3年以内の大卒者の離職率は依然として3割程度を推移し、若手社員の早期離職が引き続き企業の課題となっている。そこで、マンパワーグループが、入社2年目までの転職経験がない正社員男女400名を対象に、「現在の会社で定年まで働きたいか」、「働き方に求めることは何か」を調査した結果、全体の7割以上が「働きたくない」(72.3%)と回答したことが明らかになった。

 新卒で入社した会社で「定年まで働き続けたい」と考えている若手社員は、全体の3割にも満たず、将来転職を見据えている若手社員が多いようだ。それでは、「現在の会社で定年まで働きたくない」と回答した人が、今後、何年その会社で働きたいと思っているのかについては、「3年程度」(20.1%)、「1年程度」(19.4%)、「2年程度」(12.1%)が全体の約4割を占め、1~3年程度で離職を考えている傾向にあることが分かる。

 一方、定年まで働きたいと回答した人のその理由(複数回答)は、「給与が安定している」(55.0%)、「辞める理由がない」(53.2%)、「福利厚生が充実している」(38.7%)がトップ3。給与や福利厚生など、生活を安定させる要素は大きなポイントとなるほか、「大手だから安心」(33.3%)、「人間関係が良い」(30.6%)、「今の仕事が好きだから」(23.4%)など、企業のネームバリューや職場の人間関係、仕事のやりがいも大きく関係している。

 転職に対する抵抗感については、入社1年目の社員の27.6%が「抵抗がある」と回答したことに対し、2年目は17.0%に減少している。また、将来やってみたいと思う、興味がある働き方(複数回答)のトップ3は、「在宅勤務」(46.8%)、「時短や日数限定の勤務制」(45.0%)、「フレックス勤務」(40.8%)となったほか、政府主導での副業解禁施策が進められている状況があるためか、「副業」(36.0%)に興味を持つ人も3割を超えている。

 今回の調査では、入社2年目までの正社員男女の7割以上が「現在の会社で定年まで働きたくない」と考えていることが分かった。一方、「定年まで働きたい」と考えている若手社員は、給与や福利厚生などにおける「安定性」を重視している。給与や福利厚生などの条件面の充実は難しいかもしれないが、職場の人間関係や将来的に柔軟な働き方ができる環境を求める若手社員も多く、環境整備への注力が早期離職を防ぐポイントとなりそうだ。

 同調査結果は↓

https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/190219.html