所有権移転外ファイナンス・リース取引(「移転外リース取引」)については、リース資産の譲渡として取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、そのリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(一括控除)することが原則となる。また、インボイス制度においては、リース資産の譲渡時に適格請求書(インボイス)の交付義務が生じることになる。
しかし、経理実務の簡便性という観点から、移転外リース取引を賃借人が賃貸借処理している場合は、リース資産の譲渡時の課税仕入れとするのではなく、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)して差し支えないこととしている。この点、移転外リース取引におけるインボイスについては、リース資産の引渡し時にそのリース取引の全額に対するインボイスが交付されるものと考えられる。
したがって、移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース資産の引渡し時に交付を受けたインボイスを保存することにより、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間ごとに計上した課税仕入れに係る仕入税額控除の適用要件を満たすこととなる。
また、2023年10月1日前に行われた移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合のその移転外リース取引に係る同日以後に賃貸借処理により計上する課税仕入れについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることとなる。
なお、そのインボイスについては、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要がある。