取り組みたい最大の経営課題は「人手不足への対応」

 大阪商工会議所が発表した「中堅・中小企業の人手不足・価格転嫁に関するアンケート調査」結果(有効回答数300社)によると、今後重点的に取り組みたい経営課題(3つ以内複数回答)は、「人手不足への対応(省人化投資や人材確保・離職防止等)」(58.3%)が最多となった。以下、「新規顧客開拓、販路開拓」(49.0%)、「人材育成・リスキリング」(40.0%)、「原材料・燃料費などのコスト高騰分の価格転嫁」(39.3%)が続いた。

 人手不足への対応策として実施・検討していること(3つ以内複数回答)は、「採用活動の強化」(63.9%)が最多、「賃上げの実施」(51.1%)が続く。構造的な人手不足のなか、「事業のあり方・業務プロセスの見直し」(34.6%)、「社員の能力開発による生産性向上」(29.7%)、「多様で柔軟な働き方の推進」(21.1%)、「デジタル化・ロボット活用等省力化・省人化」(20.3%)などの対応策も上位に挙げられた。

 省力化・省人化投資の実施・検討状況をみると、省力化・省人化投資を実施あるいは検討している割合が最も高いのは、「製造・建設等業務」(80.4%)、次いで「総務・経理等管理業務」(76.3%)。一方、「研究・開発・設計等業務」では54.7%と最も低く、「営業・販売・サービス等業務」(65.5%)では「検討していない」割合が39.5%と、「研究・開発・設計等業務」(45.3%)に次いで高い。

 省力化・省人化投資を検討・実施する際の障壁(3つ以内複数回答)については、「費用対効果が分かりにくい」(44.0%)を筆頭に、「課題を把握し、何に投資すべきか具体的に検討できる人材がいない」(20.6%)、「何を導入すべきか、どう仕事のやり方を変革すべきか分からない」(19.5%)など、具体的な投資検討に進む前の段階で課題がある。障壁は「特になし」と回答した企業も17.4%あった。

 コスト上昇分の価格転嫁については、労務費上昇分を「転嫁できていない(0%)」とする企業が32.8%で最多。50%以上価格転嫁できている企業の割合は、コスト上昇分全体の価格転嫁では、35.0%であったのに対し、労務費上昇分の価格転嫁では21.4%にとどまった。価格転嫁を進めるために必要なサポート(自由記述)では、「価格転嫁のための仕組み作り」や「調査の実施・公表、コスト上昇を踏まえた価格設定」を求める声が目立った。

 同調査結果は

https://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Iken_Youbou/20240418ank_kakau.pdf