多拠点居住きっかけは「在宅勤務やテレワークの浸透」

 パーソル総合研究所が、政令指定都市と東京23区内に主たる居住地を有する20~69歳の男女就業者を対象に実施した「就業者の多拠点居住に関する定量調査」結果(複数回答2500人)によると、多拠点居住のきっかけは、「在宅勤務やテレワークの浸透」(15.3%)が最も多いことが分かった。多拠点居住とは、主たる生活拠点を指定都市圏に持ちながら、別の都道府県にも生活拠点を設けて定期的に行き来する生活をいう。

 多様な目的から複数地域を行き来する生活を志向する多拠点生活志向タイプでは、「TV・雑誌やSNSでの紹介」、自身の気分転換・リフレッシュや、その地域の魅力を堪能するため多拠点居住を行う地域愛着タイプでは「その地域での観光」、家族支援タイプでは「近親者の介護・死別」、その地域に仕事等があり、受動的に多拠点居住を行う受動的ワークタイプでは「異動やその地域での仕事」がきっかけとなる特徴が確認された。

 また、多拠点居住開始時に「転職をした」、「副業を始めた」割合はそれぞれ22.0%、20.8%といずれも2割程度。特に、多拠点生活志向タイプでは、およそ3人に1人が多拠点居住開始時に副業を始めている。自治体・企業が提供する支援(補助金・助成金)を活用する意識は約4割(「活用した」、「活用できなかった」との回答者の計)だった。「移動や交通費」、「住まい」に関する支援を求める意識が高い。

 近親者の介護や実家等の保有物件を管理するなど家族支援的に多拠点居住を行う家族支援タイプでは、自治体・企業の支援を「活用できなかった」割合が高く、特に「介護や医療」「移動や交通費」に関する支援において、その傾向が強くみられた。多拠点居住者の3人に1人が、多拠点居住に関して切実な悩みを抱えている。「移動で生じるコスト」「移動への身体的負担」を挙げる割合が高く、家族支援タイプでその傾向が強い。

 多拠点居住を行っている地域を選んだ理由は、「自然資源が豊か」(24.4%)、「食べ物が美味しい」(21.8%)、「都心部へのアクセスがいい」(20.2%)といった、“地域の魅力”に関する項目が理由として多くあがった。多拠点生活志向・地域愛着・趣味満喫タイプでは、“地域の魅力”に関する理由が多い。他方で、家族支援・受動的ワークタイプでは、「近親者の介護先」や「単身赴任・転勤・異動」などの環境面に関する理由が多い特徴がみられた。

 同調査結果は

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/multi-regional-life.pdf