企業の人手不足感の上昇が止まらない。帝国データバンクがこのほど発表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1935社)によると、従来、半数を超える企業が抱えていた人手不足は、新型コロナの感染拡大によって経済活動が制約され、一時的に緩和されていた。そうしたなか、徐々に景況感が上向くなかで人手不足割合は上昇し、半数を目前とする水準まで高まってきた。
2022年8月時点の人手不足割合は、正社員で49.3%、非正社員で29.1%だった。それぞれ新型コロナが感染拡大した2020年4月以降で最も高く、コロナ禍前の水準まで上昇している。企業からは「工事・修理関係は徐々に回復基調にあるが、新型コロナの感染で人手不足の状態が続いているため工事が順当に回っていかない」(修理業、愛知県)といった、従業員などの新型コロナ感染が人手不足を招いているという声がみられた。
業種別では、正社員では「旅館・ホテル」が72.8%で最も高い。前年同月から45.5ポイントの大幅上昇で、前月に続いて2ヵ月連続で業種別トップ。次いで、IT人材の不足が顕著な「情報サービス」(69.5%)や、慢性的な人手不足が続く「建設」(64.4%)なども高い。非正社員では、「飲食店」が 76.4%で最も高く、唯一7割を上回った。また、正社員でトップだった「旅館・ホテル」(67.9%)は非正社員でも同様に高く、2番目に続いた。
企業からは、「従業員の相次ぐ新型コロナ感染によって人手不足が続いており、営業の縮小や機会の損失が生じている」(酒場・ビヤホール、愛知県)、「感染者は10日間仕事ができず、家族が罹患しても濃厚接触者に含まれてしまうため、人手が足らずまともな仕事ができない」(食料・飲料卸売、福井県)、「受注・売上は好調で案件も増えているが、IT人材不足により人件費が高騰しつつある」(ソフト受託開発、東京都)などの声が寄せられている。
同調査結果は
↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220908.pdf