3月期決算106行の中小企業向け貸出は最高額を更新

 東京商工リサーチが発表した「国内106銀行の地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高調査」結果によると、106行の2022年3月期の総貸出金残高は508兆555億円(前年比1.3%増)で、3月期では調査を開始した2010年以降、最高を記録した。ただ、伸び率はコロナ禍の資金繰り支援の一巡もあり、前年の5.1%増から大幅に縮小。総貸出金残高のうち、中小企業等向けが347兆6111億円(同1.9%増)で、11年連続で前年を上回った。

 貸出金の伸び率は、中小企業等向けが前年(4.4%増)から2.5ポイント低下。総貸出金残高に占める貸出比率は、中小企業等向けが68.41%(前年68.03%)で、3月期では4年ぶりに前年を上回った。政府や金融機関の資金繰り支援で、コロナ禍でも企業倒産は大幅に抑制された。だが、2022年に入り支援効果は薄らぎ、低水準ながら4月から5ヵ月連続で前年同月を上回って推移。企業倒産は底打ちから増勢に潮目が変わっている。

 中小企業の業績回復が遅れ、過剰債務の解消が急務になるなか、加速する円安や物価上昇で企業の資金需要は変化しており、新たな資金調達への対応が課題になっている。2022年3月期の中小企業等向け貸出金残高は過去最高を更新したが、コロナ禍での中小企業への資金繰り支援策が一巡し、伸び率は前年(4.4%増)を大きく下回った。総貸出金残高のうち、中小企業等向けの貸出比率は68.41%(前年68.03%)で、4年ぶりに前年を上回った。

 中小企業等向け貸出金残高が増加したのは88行(構成比83.0%)で、前年の102行から14行減少。大手行が7行のうち5行(前年5行)、地方銀行が62行のうち53行(同61行)、第二地銀が37行のうち30行(同36行)で、中小企業等向け貸出金残高が前年を上回った。中小企業等向け貸出金残高の伸び率トップは、「あおぞら銀行」の前年比12.37%増。中小企業等向け貸出金は2兆5175億円で、総貸出金に占める構成比は77.92%だった。

 銀行本店の所在地別でみると、中小企業等向け貸出金残高は、10地区すべてで前年を上回った。増加率トップは「中国」4.6%増。以下、「四国」3.1%増、「中部」2.5%増の順。貸出比率は、「近畿」と「四国」の各78.30%を筆頭に、「関東」76.91%、「中部」76.02%と続く。ただ、「関東」(、「中部」、「近畿」、「中国」の4地区で貸出比率は低下した。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220927_01.html