事業承継の課題は「後継者の選定・確保・育成」

 大同生命が全国の中小企業経営者を対象に8月に実施した「事業承継に関する調査」結果(有効回答数7668社)によると、事業承継の意向は、「事業承継したい」が56%となり、コロナ禍前の2019年1月調査から17ポイント減少した。一方で、「未検討」が36%と同調査から15ポイント増加している。「後継者決定済み」(20%)、「候補者あり」(16%)と回答した36%の企業の後継者・候補者は「子」が72%と最も多くなった。

 事業承継(譲渡等を含む)や廃業の予定年齢は、「70~75歳未満」が24%と最も多く、次いで「65~70歳未満」が23%となった。また、事業承継の経験の有無をみると、現在の経営者が「二代目」の企業が39%と最も多く、次いで「創業者(事業承継の経験なし)」が35%となっており、事業承継の経験(先代から事業を引き継いだ経験)がある企業は65%となった。先代経営者は、自身の「親」が74%と最も多い。

 「後継者に事業承継したい」経営者が事業承継に必要と考える期間は、「3~5年未満」が37%と最も多い。一方、実際に「事業承継の経験がある」経営者が事業承継に要した期間は「10年以上」が28%と最も多くなった。事業承継をするにあたっての課題(複数回答)については、「後継者の育成」が53%と最も多く、次いで「後継者の選定・確保」が30%、「事業や業界の将来性」が23%で続いた。

 事業承継の意向では、3%の経営者が「事業承継したい(譲渡・売却・統合(M&A)を検討)」と回答しているが、その際、事業承継を検討する相談相手や参考とする情報(複数回答)は、「金融機関(銀行・証券)」がそれぞれ38%と最も多い回答となった。従業員規模別では、「5人以下」の企業で「公認会計士・税理士」(全体では34%)が37%と最も多く、「公認会計士や税理士」が身近な相談相手となっていることがうかがえる。

 なお、8%の経営者が「廃業したい」、36%が「未検討(検討時期ではない+考える時期だが未検討)」と回答したが、その理由(複数回答)は、「元々自身の代で廃業予定」が55%と最多、次いで「後継者が見つからない(育っていない)ため」が36%。事業承継を考えるべき時期だが未検討の理由でも、「後継者が見つからない(育っていない)ため」が58%と最多となり、事業承継において「後継者の選定・確保・育成」が課題となっている。

 同調査結果は

https://www.daido-life.co.jp/company/news/2022/pdf/220926_news.pdf