役員報酬1億円以上開示、社数・人数ともに最多更新

 東京商工リサーチが発表した「役員報酬1億円以上開示企業調査」結果によると、2022年3月期決算で1億円以上の役員報酬を開示した企業は287社、人数は663人だった。前年より社数は34社増、人数は119人増。社数・人数ともに2019年(281社・571人)を上回り、開示制度が始まった2010年3月期以降の過去最多を更新した。コロナ禍の2021年は業績低迷などで社数が前年を下回ったが、人数は前年を上回った。

 2022年はコロナ禍が3年目に入り、円安などを背景に業績が好転した企業が増えたほか、ストックオプションや株式報酬などの非金銭報酬もウエイトが高まり、人数・社数とも大幅に増加。報酬総額は1453億2800万円で、前年比32.9%増と大幅増加。役員報酬の主な内訳は、基本報酬が580億8800万円(前年比14.7%増)で最も多い。一方、ストックオプションは113億700万円(同143.0%増)と大幅に増え、非金銭報酬も定着しつつある。

 2022年3月期の役員報酬の最高は、Zホールディングスの「慎ジュンホ取締役」の43億3500万円(前年開示なし)。歴代5位の報酬額で、連結子会社LINEからの報酬が41億4600万円(うち、ストックオプション41億700万円)だった。2位は、第一交通産業の「黒土始会長」の19億400万円(前年3億1000万円)。固定報酬2億4000万円、退職慰労金7000万円のほか、取締役退任に伴う特別功労金15億9400万円。

 3位は、ソニーグループの「吉田憲一郎会長兼社長CEO」の18億8800万円(前年12億5300万円)。定額報酬2億1500万円、業績連動報酬3億9100万円のほか、ストックオプション15万株、譲渡制限付株式7万5000株が付与された。4位は、武田薬品工業の「クリストフウェバー社長」の18億5800万円(同18億7400万円)。5位は、東京エレクトロンの「河合利樹社長」の16億6500万円(同9億200万円)だった。

 役員報酬は基本報酬が中心だが、近年は業績連動に加え、ストックオプション、株式報酬などの非金銭報酬も高まっている。一方、退職慰労金による多額の報酬は減る傾向にある。報酬額10億円以上は8人で、前年を3人上回った。報酬額40億円以上は、2017年のソフトバンクGのニケシュ・アローラ元副社長(報酬額103億4600万円)以来、5年ぶりの登場。一方、1億円以上2億円未満は474人(同392人)で、全体の71.4%を占めた。

 役員報酬を開示した287社のうち、開示人数が10人以上は3社で、前年より1社増加した。一方、1人が140社(構成比48.7%、前年136社)で、ほぼ半数を占めた。企業別の開示人数は、「日立製作所」が18人(前年15人)で、3年連続最多。2位は、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」(同11人)と「東芝」(同1人)の各13人。4位は、「大和証券グループ本社」と「三井物産」の各9人で、前年と同人数だった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220722_01.html