5月倒産件数517件、抑制から一転12ヵ月ぶり増加

 帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、5月の倒産件数は517件で、前月比では6.2%増、前年同月比でも12.1%増となり、12ヵ月ぶりに前年同月を上回った。従来からのコロナ関連の支援策などによって、倒産は抑制されてきたものの、2021年7月(▲42.1%)をピークに減少率の縮小が続き、今月で増加に転じた。

 一方、負債総額は785億4000万円(前月720億1700万円、前年同月1664億4700万円)となり、前月比では9.2%増だったものの、前年同月比では、前年同月で負債1000億円を超える大型倒産が発生した影響もあって、▲52.8%の大幅減少となり、2ヵ月連続で前年同月を下回った。負債額最大の倒産は、パチンコ機器メーカーの(株)高尾(民事再生法、愛知県)で、負債は66億7900万円だった。

 業種別にみると、7業種中5業種で前年同月を上回った。建設業(前年同月84件→105件、25.0%増)では、建築資材の高騰や労務費の上昇といった影響を受け、内装工事など職別工事業(同35件→55件)で57.1%の大幅増。サービス業(同110件→124件、12.7%増)は、宿泊業(同5件→11件)や医療業(同5件→11件)などが全体の件数を押し上げ、2ヵ月連続の前年同月比二ケタ増となった。

 負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は292件(前年同月比3.9%増)で、12ヵ月ぶりの増加となり、構成比は56.5%を占めた。このうち、サービス業(81件)が構成比27.7%(対前年同月▲0.8ポイント)を占め最多。建設業(67件)が構成比22.9%(同3.0ポイント増)が続く。また、製造業(27件)は前年同月から58.8%増加、なかでも飲食料品製造業などの業種が多い。

 地域別にみると、9地域中、北陸を除く8地域で前年同月を上回った。関東(前年同月176件→190件、8.0%増)は、製造業(同13件→25件)が前年同月比90%超の大幅増となり、全体でも4ヵ月ぶりに前年同月を上回った。

 また、北海道(同12件→24件、100.0%増)、東北(同)、四国(同6件→13件、116.7%増)の3地域は前年同月から倍増、中国(同23件→32件、39.1%増)では、岡山県が前年同月の0件から14件と大幅に増加した。

 同倒産状況の概要は↓

https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/2205.html