2021年職場の熱中症による死傷者数、前年比▲41%

 厚生労働省が公表した2021年の職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)によると、職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数は、2021年に561人で、前年比▲41%となった。うち死亡者数は20人。過去3年の状況と比較すると、死傷者数、死亡者数ともいずれの年よりも下回った。過去10年間(2012~2021年)の発生状況をみると、年平均で死傷者数639人、死亡者数21人となっている。

 過去5年間(2017~2021年)の業種別の熱中症の死傷者数をみると、「建設業」(878人、うち死亡者数46人)、「製造業」(805人、同17人)で多く発生。主な業種について、死傷災害に占める死亡災害の割合をみると、全業種平均の2.7%に対し、「農業」6.1%、「建設業」5.2%、「警備業」3.0%などが高い。2021年の死亡災害については、「建設業」において11件と最も多く発生、過去5年間においても死亡災害の最多業種となっている。

 2017年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の8割以上が7月及び8月に発生。また、6月から9月における月別の死傷者数に占める死亡者数の割合は7月、8月、9月の順に高かった。 2021年の死亡災害は5月から8月に発生し、5月は1名、7月は7名、8月は12名が死亡しており、年内の死亡者数に占める月別死亡者数の割合をみると 2020年に比べ7月の発生割合が高かった。死傷災害にも同様の傾向がみられた。

 2017年以降の時間帯別の死傷者数をみると、「15時台」(547人)が最も多く、次いで「14時台」(499人)が多くなっていた。なお、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見された。また、2021年の死亡災害20件のうち、入職後間もない時期の発生が少なくとも8件、そのほか4日以上の休暇後の発生が少なくとも1件含まれていた。

 そのほか、2021年の死傷災害の22.6%は明らかに屋内で作業に従事していたと考えられる状況下で発生。業種別の屋内災害の割合は、「製造業」で約46%、「農業」で約36%となっており、熱中症は、必ずしも屋外での作業でのみ発症しやすいわけではない。屋内作業においては、炉の近傍など特定の熱源から近いところでの作業での発生がみられ、また、特定の熱源がない場合も、高温多湿と考えられる室内環境において多く発生していた。

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