4月から成年年齢18歳へ引下げが税務に与える影響

 4月1日から改正民法が施行され、成年(成人)年齢が18歳に引き下げられる。これに伴い、国民投票の投票権年齢や選挙権年齢が18歳と定められるのを始め、クレジットカードや携帯電話などの契約、住所・職業の決定などが親の同意なしで可能になる。また、税理士や公認会計士、司法書士、社会保険労務士などの専門的な国家資格の取得も可能になる。ただし、飲酒、喫煙、馬券購入はこれまで通り20歳以上という取扱いだ。

 このように、成年年齢の18歳への引下げは生活の面において様々な影響があるが、税務面でも少なからぬ影響がある。代表的なところでは、相続税の未成年者控除、贈与税申告の特例税率の適用などが、既に税制改正等で見直されている。相続税の未成年者控除は、相続人の中に未成年者がいる場合、成年年齢から相続日時点の未成年者の満年齢の差額に10万円を乗じた金額が相続税から控除される。

 これまでの未成年者控除は「(20歳-相続・遺贈で財産を取得した時の満年齢)×10万円」で計算していたが、4月1日以後は「(18歳-相続・遺贈で財産を取得した時の満年齢)×10万円」で計算する。例えば、相続時に15歳の相続人がいた場合、3月31日までは50万円((20歳-15歳)×10万円)だったが、4月からは30万円((18歳-15歳)×10万円)となり、相続税においては20万円分の増税となる。

 一方で、贈与税申告の特例税率の適用はメリットがある。最も一般的な暦年贈与では、20歳以上の子や孫が父母又は祖父母(直系尊属)から贈与を受けた場合には、贈与金額によっては特例税率が設けられている。例えば、暦年贈与では、110万円の基礎控除後の贈与の金額が300万円超400万円以下の場合、特例税率では15%、それ以外の一般税率では20%の課税となる。この受贈者の年齢要件が、4月以後は18歳以上となる。

 また、原則60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の相続時精算課税制度の受贈者の年齢要件も18歳以上となる。そのほか、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合や、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の受贈者の年齢、個人版事業承継税制や法人版事業承継税制の後継者の年齢要件なども同様に18歳以上となる。