2022年の公示地価は2年ぶりに上昇し回復傾向に

 国土交通省が22日に公表した2022年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全国全用途平均で0.6%のプラス(前年▲0.5%)と2年ぶりに上昇したことが分かった。住宅地は0.5%(同▲0.4%)、商業地は0.4%(同▲0.8%)とともに2年ぶりに上昇に転じた。新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られる。

 地方圏は、全用途平均が前年比0.5%(前年▲0.3%)、住宅地が0.5%(同▲0.3%)、商業地は0.2%(同▲0.5%)で、いずれも2年ぶりの上昇となった。地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、全用途平均(5.8%)・住宅地(5.8%)・商業地(5.7%)のいずれも上昇を継続し上昇率が拡大したが、地方四市を除くその他の地域では全用途平均(▲0.1%)、住宅地(▲0.6%)、商業地(▲0.5%)ともに下落を継続した。

 国土交通省では、住宅地について、(1)景況感の改善を背景に、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による下支えの効果もあり、住宅需要は回復し、地価は上昇に転じ、(2)都市中心部の希少性が高い住宅地や交通利便性等に優れた住宅地では上昇が継続しており、生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化などにより、その周辺部にも上昇範囲が拡大している、などの特徴を示している。

 商業地については、(1)都心近郊部において、景況感の改善により、店舗やマンション用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く見られ、(2)駅徒歩圏内の繁華性のある商業地や地方圏の路線商業地など、日常生活に必要な店舗等の需要を対象とする地域では上昇地点が増加しているが、(3)国内外の来訪客が回復していない地域や飲食店舗等が集積する地域では、下落が継続している地域がある、としている。

 なお、全国の最高額は東京都中央区銀座4の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5300万円で前年と比べて▲1.1%下落した。ところで、毎年7月には国税庁から相続税・贈与税を計算するときの土地の評価額である路線価が公表されるが、地価公示価格は、売買実例価額や不動産鑑定士等による鑑定評価額等とともに、路線価を算定する際の基となる。今夏公表される2022年分路線価への地価公示価格上昇の影響が注目される。

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