小企業の従業員過不足DIが2年ぶり上昇~日本公庫

 日本政策金融公庫が発表した「小企業の雇用に関する調査」結果(有効回答数7347社)によると、現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は28.6%と、前回調査(2020年7~9月期)から1.8ポイント上昇した。一方、「過剰」は13.2%と、同1.8ポイント低下した。従業員過不足DI(「不足」-「過剰」割合、全業種計)は、前回調査から3.5ポイント上昇し、15.4となった。上昇は2年ぶり。

 従業員過不足DIを業種別にみると、飲食店・宿泊業、建設業を除く全ての業種で上昇。「不足」割合は、「情報通信業」が53.8%と最も高く、次いで「建設業」(48.8%)、「運輸業」(47.3%)の順。また、従業員数が1年前と比べて「減少」と回答した企業割合は16.6%と、前回調査における今後の方針(5.1%)を上回った。業種別にみると、「飲食店・宿泊業」が27.7%と最も高く、次いで「運輸業」(20.6%)、「建設業」(17.7%)の順だった。

 人手不足の影響(複数回答)は、「人手が足りず、需要の増加に対応できない」が40.2%と最も高く、次いで「人手を確保するために賃金を上げている」が32.9%。人手不足への対応(同)は、「仕事のプロセス(段取り)の効率化」、「従業員の多能化・兼任化」、「仕事(受注量)の絞り込み」との回答企業割合が低下する一方、「増員(パート・アルバイトを含む)」、「賃金の引き上げ」、「仕事の機械化・IT化」、「残業の増加」は上昇した。

 給与水準DI(1年前と比べて「上昇」-「低下」割合、全業種計)は前回調査から4.0ポイント上昇し、15.2となった。給与水準が「上昇」した企業の割合を従業者規模別にみると、規模が大きいほど高くなっている。前回調査と比べると、全ての規模で「上昇」企業割合が高くなっている。給与水準DIを業種別にみると、飲食店・宿泊業、情報通信業を除く全ての業種で上昇した。

 給与が上昇した企業の割合は、「情報通信業」が33.7%と最も高く、次いで「建設業」(31.2%)、「製造業」(26.9%)の順。また、給与水準が上昇した背景(複数回答)をみると、「人材の定着・確保」と回答した企業割合が69.9%と最も高く、次いで「最低賃金の改定」が37.1%、「自社の業績が拡大」が17.6%。従業者規模別にみると、規模が大きいほど「自社の業績が拡大」と回答した企業割合が高くなっている。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_211125.pdf