会社標本調査を見直し「従業員数」追加へ~国税庁

 国税庁はこのほど、会社標本調査を見直すことを公表した。会社標本調査は、日本の法人企業について、資本階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて税収の見積もり、税制改正及び税務行政の運営の基礎資料とすることを目的に1951年(昭和26年)から毎年実施している。今回、会社標本調査の見直しに向けて検討課題になっているのは、統計精度の向上に向けた「e-Taxデータの更なる活用」と「新たな階級区分」について。

 国税庁所管統計の整備に関する検討会ではこれまで、統計制度の向上の観点から、データによる全数取得が可能な項目の全数調査化と、e-Taxデータの更なる活用の検討を進めてきた。具体的には、調査項目のうち法人税確定申告書別表第1から取得可能な「営業収入金額(売上金額)」、「資本金額」、「所得金額」、「法人税額」、「所得税額控除」、「外国税額控除」、「繰越欠損金額」等について、全数調査化を検討してきた。

 2009年度からe-Taxを利用して法人税確定申告書を提出した法人について標本法人とすることで、標本サイズを大幅に増加させている。2020年4月1日以後開始の事業年度分からは、資本金1億円超の内国法人や相互会社等については、e-Taxによる申告が義務化されており、更なる標本サイズの増加が見込まれることから、e-Taxデータを活用した統計精度の向上の検討を進めている。

 一方で、資本金1円会社の解禁以降、資本金100万円以下の法人は増加傾向にあり、近年では、持株会社や資産管理法人等の利用が活発であり、資本金は低額でも高額な営業収入や税額控除を計上する法人も増えてきた。また、税制上の中小企業に該当する資本金1億円の企業においても、上場企業と遜色ない売上を計上する企業が出てきたことから、従来の資本金階級区分に加え、法人規模を測る新たな階級区分の検討を進める。

 新たな階級区分として、「売上金額」と「従業員数」を検討。売上金額については、変動が大きく、調査年によって所属階級区分が異動し、各調査項目について前年との接続性が損なわれることが想定される。また従業員数については、法人規模を測る指標として有効と考えられるとして、今後、従業員数を新たな階級区分とする場合の課題の検討をさらに深めていくとしている。

この件については↓

https://www.nta.go.jp/about/council/statistics/211119/pdf/02.pdf