日本経済、10月以降は個人消費主導で本格回復か!

 伊藤忠総研がこのほど発表した日本経済情報2021年11月号は、日本経済は10月以降、個人消費主導で本格回復との見通しを示した。2021年7~9月期GDPの1次速報値は、大方の予想を大きく上回るマイナス成長(前期比▲0.8%、年率▲3.0%)となり、改めて夏場の景気停滞が確認された。個人消費(前期比▲1.1%)、設備投資(同▲3.8%)、輸出(同▲2.7%)のいずれも大きく落ち込んだ。

 ただ、Googleデータによると10月に入り人の動きが急速に活発化している。こうした人出の状況を踏まえると、10 月以降の個人消費は急速に回復に向かうとみられる。輸出の減少は自動車生産の落込みが主因だが、10月には持直しの動きが見られ、米国向けは復調が期待できる。ただ、中国向け輸出は、鉄鋼やプラスチックなど素材分野で大幅に落ち込んでおり、回復にはやや時間がかかり、停滞続く可能性がある。

 7~9月期に予想外の落込みとなった設備投資は、今後は復調を期待できそうだ。機械投資(工場の生産設備など)が停滞、建設投資は、4~6月期の前年同月比+9.4%から7~9月期は▲2.6%へ急減速したが、企業の投資意欲は根強く、すでにストックが減少(生産能力が低下)しつつあることも考慮すると、今後、個人消費や輸出が持ち直せば、成長に向けた生産設備拡大のため、設備投資も自ずと増加基調を取り戻すとみている。

 岸田政権は11月19日、過去最大となる財政支出規模55.7兆円の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定した。景気好転の兆しが見られるなか、景気回復を後押しすることは間違いない。対策の中身は、(1)新型コロナ感染症の拡大防止策、(2)「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、(3)未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動、(4)防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保だ。

 以上を踏まえると、実質GDP成長率は、足元10~12月期に前期比大幅プラスへ転じ、以降も景気対策の効果が加わり堅調拡大を持続、2021年度で前年比+2.7%、2022年度は+3.5%まで高まると予測。2023年度も潜在成長率を上回るものの、消費者物価上昇率は年度末でも1%程度にとどまると予想する。膨張する財政赤字棟にも目配せし、物価目標2%など金融政策の枠組みの妥当性の再検討も必要となる、と指摘している。

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