GS売上高、コロナ禍の外出自粛などで約8割が減収

 東京商工リサーチが発表した「主なガソリンスタンド(GS)の業績動向調査」結果によると、「ガソリンスタンド」運営業者2867社の最新期決算の売上高合計は、5兆3368億円(前期比▲13.2%減)で、2年連続で減収となった。コロナ禍での外出自粛の広がりに加え、若者の自動車離れや自動車の低燃費化、電気自動車(EV)の普及などで、減収が続いている。ガソリン販売業者2867社のうち、減収は約8割(構成比78.8%)に達した。

 一方、当期純利益の合計は780億円(前期比23.8%増)と伸長した。コロナ禍でガソリンの仕入単価が抑えられたことによる粗利(マージン)上昇が寄与したほか、セルフ給油所へのシフトなど固定費の削減効果も出たようだ。売上高伸長率では、「▲10%未満」が構成比51.2%で最も多く、半数を占めた。以下、「▲10~▲5%未満」が同17.8%、「0~5%未満」が同16.8%の順。一方、10%以上は同2.5%と、1割にも満たなかった。

 2867社の最新期の損益は、黒字が構成比89.2%で、前年の87.2%より2.0ポイント上昇。一方、赤字は同10.7%。最新期は、資本金1億円以上の大企業では44社中41社と93.1%が、1億円未満の中小企業(個人企業他を含む)では89.2%が黒字で、規模を問わず黒字を確保できている。大企業は44社すべてが最新期で減収だったが、ガソリン販売の粗利上昇に加え、営業費の削減、資産売却などで収益力の底上げを図ったことが奏功した。

 2867社を業歴別でみると、「50~100年未満」が構成比63.9%と6割を超えた。次いで、「30~50年未満」が同16.2%、「100年以上」が同7.1%、「10~30年未満」が同4.5%だった。業歴30年以上の企業が87.4%と8割を超え、他業種と比べ老舗企業が多い。一方、「5~10年未満」は同0.2%、「5年未満」は同0.03%(1社)と新規参入が少なく、ガソリンスタンド数の減少に拍車をかけている。

 9月末で緊急事態宣言が全面解除され、県をまたぐ長距離の移動も増えて、今後は販売数量の回復も見込まれている。だが、自動車離れや電気自動車・次世代自動車などの普及で、ガソリン消費量の低下は避けられない。さらに、都市部と地方では冷暖房電気製品の普及や住民の高齢化の度合いが異なり、地域による格差も広がっているようだ。生活環境や様式の変化に伴い、ガソリンスタンドの周辺環境は厳しさが増している。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211022_02.html