「伝統的酒造り」の登録無形文化財への登録を答申

 文化庁の文化審議会は、10月15日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、「伝統的酒造り」の登録無形文化財への登録を文科大臣に答申したことを明らかにした。登録無形文化財とは、生活文化や芸能、工芸技術などを幅広く保護していくため、文化財保護法の改正により今年6月に新設された登録制度。重要無形文化財に指定されていない文化財のうち、特に保存や活用が必要なものが対象となる。

 酒は『古事記』などに登場し、古くから日本に根差してきた食文化のひとつ。伝統的酒造りは、近代科学が成立・普及する以前から造り手の経験の蓄積によって築き上げられてきた手作業のわざを指す。明治以降、酒の生産では機械化及び大規模化が進行してきたものの、伝統的に培われてきた手作業による生産は今日まで受け継がれており、日本酒、焼酎、泡盛及びみりん等の酒造りに活かされてきた。

 日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術は室町時代に製法が確立。明治以降に機械化・大規模化が進む中でも手作業による生産は受け継がれ、発酵法を高度に調整することで味や香り等に関する多様な表現を行っており、生活文化として歴史上の意義があると評価された。食文化が無形文化財となるのは初めてで、同時に登録申請されている「書道」と合わせて将来的にユネスコの無形文化遺産への登録も目指す。

 今回の答申を受けて、酒販事業の所管官庁である国税庁では、「大変喜ばしいこと。国税庁としては、文化庁や『日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会』(「伝統的酒造り」の保持団体)等とも連携し、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保護・継承に向けた取組みをより一層進めていく」(大鹿行宏長官)とのコメントを発表している。

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https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/93480101_01.pdf