法務省、所有者不明土地の解消へ向け税制改正要望

 所有者不明の土地問題が深刻化するなか、法務省では税制面からの問題解決策として、2022年度税制改正要望の中で、登録免許税の非課税措置の新設や登録免許税の特例措置の拡充・延長を要望している。近年、不動産登記により所有者が直ちに判明しない、または判明しても連絡がつかない「所有者不明土地」が増加。民間の土地取引や公共事業の用地取得、農地の集約化、森林管理など様々な場面で多くの問題を引き起こしている。

 こうした所有者不明土地の主な発生原因は、所有権の登記名義人に相続が発生しているのに相続登記がされないこと(相続登記の未了)と、所有権の登記名義人が転居しているのに住所変更の登記がされないこと(住所等の変更登記の未了)。つまり、「相続時」に「登記をしなくてよく」、また、相続時に登記をしなくても「(その時は)困らない」という現状がある。また、所有者が不明なことによる弊害は建物についても指摘されている。

 こうした所有者不明土地問題の抜本的な解決に向け、法務省では、まず、所有者不明土地・建物の解消に向けた不動産登記法の改正を踏まえた登録免許税の特例の新設を求めた。相続登記や住所等の変更登記の申請の義務化や新たな職権的登記の創設等を内容とする不動産登記法の改正を踏まえ、所有者不明土地・建物の解消及び発生予防のための対策として、登録免許税に関する措置を提案したもの。

 具体的には、不動産登記法改正で新設された職権的登記の登録免許税の非課税のほか、所有者不明土地等問題の解決に向けて、相続登記等に係る登録免許税の負担軽減を図るための特例新設を要望。次に、所有権の登記名義人が死亡した後も相続登記がされない土地について、その主要な発生原因の一つとして相続登記に係る費用の負担が指摘されていることから、相続登記の促進のための登録免許税の特例措置の拡充及び延長を要望した。

 具体的には、次の登録免許税の免除措置を3年間延長する。(1)個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。(2)の場合において同じ)により土地の所有権を取得した場合において、その個人が相続による土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときに、その個人をその土地の登記名義人とするために受ける登記に係る登録免許税の免除(租税特別措置法第84条の2の3第1項)。

 (2)個人が、土地について所有権の保存登記又は相続による所有権の移転登記を受ける場合に、その土地が登記の促進を特に図る必要があるとして法務大臣が指定する土地であり、かつ、その土地の登記に係る登録免許税の課税標準となる価額が10万円以下であるときにおけるその登録免許税の免除(租特法第84条の2の3第2項)。また、上記(1)の措置の恒久化や(2)の要件を緩和し、適用対象となる土地を拡充することを要望した。

法務省の2022年度税制改正要望事項は↓

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/request/moj/index.htm