フリーランスに重宝される「オンライン対応税理士」

 フリーランスとは、特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門的知識やスキルを提供して対価を得る人。フリーランス協会が政府税制調査会の第5回納税環境整備に関する専門家会合に提出した「フリーランスの記帳実態について」と題した資料によると、フリーランスと税理士との関係について、「オンラインで相談対応・サポートできる税理士」は重宝されることが分かった。

 複合的な要因から、この5年間にフリーランスへの注目が高まっているが、フリーランスについて把握されている課題としては、独立・副業のハードルが下がったことが会計リテラシー(知識・応用力・理解力)の低下を招いているとした上で、税理士との関係では、オンライン対応税理士は重宝される一方、「売上水準から考えると顧問契約は費用的ハードルが高い」、「会計用語が理解できないので会話がスムーズに進まない」ことが挙げられた。

 また、クラウド会計サービスの留意点については、「どういう状態になっていれば正解なのか、着眼点を持っていない」、「仕訳ミス、消込ミス、重複ミスなどが残っていても気づけない」、「預金残高が合っていない(事業用クレカの引落し口座が私用口座になっている等)」、「現金会計だと利用メリットがない(要オンラインバンキング/キャッシュレス化)」などが把握されている課題として挙げられている。

 さらに、持続化給付金の制度設計時に生じた問題として、雑所得計上していたフリーランスの多くは、帳簿を付けていなかったことが分かった。物品の仕入れや外注などの経費支払いがなく、自分自身のスキルや稼働に対し確定申告の目的以外では帳簿を付ける必要性を感じにくいことや、税理士・税務署窓口担当者としても、あまりに情報やエビデンスが乏しいと雑所得にせざるを得ないなどの問題が挙げられている。

そのほか、フリーランスの実態は、開業届を出して、業務委託契約を結んでいても、取引先から源泉徴収票や給与明細が発行されていたことから、事業所得ではなく給与所得計上している者や、報酬を雑所得計上している者の場合、その多くが帳簿を付けていなかったなど、さまざまであることが明らかになっている。なお、内閣官房の2020年調査によると、フリーランス人口を462万人(本業214万人、副業248万人)と試算している。

 フリーランスの記帳実態については↓

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/3noukan5kai3.pdf