国税庁はこのほど、日本弁護士会連合会(日弁連)からの「司法修習生の修習期間中に給与等の支給を受けられなかった者に対して支払われる給付金は一時所得に該当」との見解を認めたことを明らかにした。日弁連には現在約4万人の会員が在籍しているが、会員のうち、司法修習生の修習期間中に給費制に基づく給与又は修習給付金制に基づく修習給付金の支給を受けられなかった者(「谷間世代」という)が約9800人いるという。
司法修習生は、司法試験に合格後、司法修習という1年間の研修を受けている。1947年に司法修習生の給費制が導入され、司法修習生は、その修習期間中、国庫から一定額の給与が支給されていたが、司法制度改革による財政資金の活用等の理由から、給費制は2011年10月末に廃止された。その後、2017年11月より修習給付金制が導入され、司法修習生には、その修習のため通常必要な一定の期間、修習給付金を支給することとされている。
このため、2011年から2017年の間、修習期間中に給与又は修習給付金のいずれの支給も受けられなかった「谷間世代」が約9800人存在しており、日弁連では、この谷間世代に対する施策として、一定要件を満たす会員に対し、一律20万円を給付する制度を2019年4月から実施している。そこで日弁連は、会員が支払いを受けるこの給付金の所得区分について国税庁に事前照会したわけだ。
日弁連は、この給付金の所得区分としては、事業所得、一時所得などが候補に挙げられるところ、給付金は日弁連から支給されるものであり、対象会員が顧問契約等に基づく弁護士業務に係る収入には該当しないこと、本件給付金は谷間世代の経済的負担や不平等感を軽減すること等を目的として一回限りで支払われるものであり役務の対価として支払われるものでもないこと等から、一時所得に該当するとしてよいかを事前照会した。
これに対し国税庁は、「この給付金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない所得として、一時所得に該当」との日弁連の見解について、照会に係る事実関係を前提とする限り、その見解のとおりで差し支えないと回答した。
この件は↓http://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shotoku/200131/01.htm#a01