5割超の企業が災害等で「悪影響を受けた経験あり」

 商工中金がこのほど発表した「中小企業の経営課題に関する実態調査(BCP・SDGs対応・シェアリングエコノミーを巡る実態)」結果(有効回答数4830社)によると、災害や事故等が原因で事業活動に悪影響(直接的・間接的問わず)が出た経験は、全体の13.6%の企業が「大きな悪影響が出た経験あり」と回答した。「やや悪影響が出た経験あり」(41.5%)と合算すると、全体の55.1%と5割超の企業が悪影響を受けた経験がある。

 売上規模別にみると、売上規模が大きいほど悪影響を受けた経験のある企業割合は高かった。拠点や取引先の数が多いと、災害や事故による影響を受けやすくなることなどが背景にあるとみられる。また所在地域別でみると、東北地方では、「大きな悪影響が出た経験あり」と回答した企業割合が32.7%と特に高かった。2011年に東日本大震災による大きな被害が出たこと等が背景にあるとみられる。

 BCP(事業継続計画)の策定・認知状況については、「策定済み」は全体の11.4%、「策定中」は11.5%。一方、16.8%が「BCPという言葉を知らない」と回答。非製造業よりも製造業のほうが、「策定済み」企業の割合は大きく、BCPという言葉の認知度は高かった。売上規模別では、売上規模が大きいほど「策定済み」と回答した企業の割合は高かった。また、売上規模が大きいほどBCPという言葉の認知度は高かった。

 BCPを策定した効果・BCPの策定に期待する効果(複数回答)は、いずれの企業でも、「緊急時の適切な対応」、「従業員の緊急時対応に対する意識向上」、「取引先からの信頼度向上」の順に回答が多かった。また、BCPを「未策定・策定の予定なし」の企業が策定していない理由 (複数回答)は、「策定必要性を考えるほどの緊急時が想定できない」が40.5%と最多、「ノウハウが不足」(36.7%)、「人員が確保できない」(22.3%)が続いた。

 緊急時に備えて実施済みの対策(5つまで回答)としては、「火災・地震等の保険の加入」(70.0%)、「緊急時の連絡体制の整備」(65.2%)、「データ等のバックアップ体制整備」(48.1%)の回答が上位に並んだ。今後実施したい対策(5つまで回答)としては、「非常時に協力できる同業者や地域社会等との関係構築」(35.0%)、「非常食や飲料水の備蓄」(32.7%)、「非常時の予備電源の整備」(31.9%)の回答割合が大きかった。

 同調査結果は↓

https://www.shokochukin.co.jp/assets/pdf/nr_191021_01.pdf