空き家対策で固定資産税情報の活用が効果~総務省

 総務省行政評価局がこのほど公表した「空き家対策に関する実態調査」結果によると、空き家の所有者の特定に固定資産税情報の活用が大きな効果を上げている実態が分かった。調査は、全国93自治体に対し2017年10月~2018年1月までの間実施した。調査結果によると、空き家所有者の特定のために活用した情報(複数)では、対象とした72自治体(対象戸数1万1565戸)をみると、固定資産税情報が約1万件で最も多かった。

 そのほか、登記簿情報が約5000件、戸籍情報が約5000件(うち、多自治体への公用請求が約2700件)、住民票情報が約3200件(同約1200件)で、固定資産税情報が最も多かった。また、最初に確認する情報としても、固定資産税情報が34自治体と半数近くを占め最も多かった。これらの情報の活用により、対象戸数の95%にあたる1万989戸の所有者が特定されている。

 近年、全国で空き家が増加(2013年住宅・土地統計調査において全国の空き家は約820万戸。なかでも、長期にわたって不在等の状況にある空き家は20年間で2.1倍増の318万戸)。空き家は、倒壊などの危険や不衛生、景観を損なうなどの問題があることから、2014年に議員立法で空家対策法を成立させ(2015年5月全面施行)、問題のある特定の空き家の所有者等に対して、市町村による除却等の助言・指導・行政代執行等ができるようにした。

 ただし、所有者に空き家の適正管理を求めようにも所有者が不明の場合もあることから、所有者の特定が必要となる。自治体が所有者を特定する方法として、登記簿情報や固定資産税情報等の活用がある。空家法施行まで自治体は、空き家所有者等の特定に当たって、主に登記簿情報等を活用して調査を行っていたが、登記簿情報の場合、空き家の所有者が死亡後に遺族等による登記簿情報の更新が行われていないと現在の所有者が明らかにならない。

 一方、固定資産税情報の場合、従来、自治体の固定資産税担当部局が徴税等の目的のため独自の調査等で得た所有者等に関する情報については、これらの個人情報を課税等の目的以外に使用することは地方税法の秘密漏えいに関する罪に該当する恐れがあるため空き家対策などで活用できなかったが、略式代執行等について規定した「空家対策法」の施行により、活用が可能になった。

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