大阪万博、近畿企業の55.8%が自社に「プラスの影響」

 帝国データバンクがこのほど発表した「大阪万博に関する企業の意識調査」結果(有効回答数9619社)によると、大阪万博の開催が与える企業活動への影響については、「プラスの影響がある」が31.0%、「マイナスの影響がある」が5.7%、「影響はない」が38.9%、「分からない」が24.3%となった。約3割の企業が大阪万博開催に関してプラスの影響があるととらえているが、少数ながらマイナスに作用すると考えている企業もみられた。

 地域別にみると、「プラスの影響がある」と回答した企業の割合は、「近畿」で55.8%と最も高く、次いで「四国」の31.8%だった。全国平均(31.0%)を超えている地域は、「近畿」、「四国」以外では「中国」(31.7%)、「東海」(31.3%)の4地域で、他の地域では全国を下回る結果だった。特に、地域的に距離のある「北海道」、「東北」、「北関東」においては、1割台となっており、5割を超える「近畿」とは隔たりが大きい結果となった。

 大阪万博開催の影響に関する具体的な理由(複数回答)は、プラスの理由として「建設需要の増加(パビリオン、インフラ、関連施設など)」が22.5%で最多、次いで「個人消費の拡大」(15.6%)、「インバウンド需要の増大」(12.7%)、「人々の気持ちの高揚」(10.6%)と続いた。施設建設などのハード整備によるプラス材料だけでなく、個人消費の拡大や気持ちの高揚といった人々の内面的な盛上りを期待する企業も多くみられた。

 他方、マイナスの理由としては、「人手不足の深刻化(職人や技術者など)」が26.2%で最も多く、次いで「建設費の高騰」(16.4%)、「諸経費の増加(宿泊費や交通費など)」(9.6%)、「物流機能の混乱(開催地域周辺の道路網の混雑など)」(8.9%)などが上位に挙げられた。大阪万博の開催について、建設需要の増加によるプラス材料がある反面、人手不足の深刻化や建設費の高騰を懸念していることが明らかになった。

 業界別に「プラスの影響がある」との回答割合をみると、「金融」(30.5%)、「建設」(31.9%)、「製造」(33.2%)、「運輸・倉庫」(33.1%)、「サービス」(32.7%)の5業界が30%を超える結果となった。ただし、「建設」においては、「マイナスの影響がある」が13.5%と10業界で最も高い割合を示していた。プラス材料だけでなく、人手不足の深刻化や建設費の高騰など、マイナス材料に対しても危惧していることが推察される。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190108.pdf