経済産業省では、2014年4月の消費税率8%引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、公正取引委員会と連携して、(1)監視・取締り対応、(2)広報・相談対応を一体的に実施し、転嫁拒否行為の未然防止及び迅速な是正を行っているが、このほど、2018年9月末までの主な転嫁対策の取組状況を取りまとめ公表した。監視・取締り対応では、まず、消費税の転嫁拒否等に関する大規模な調査を実施している。
2018年度も引き続き、公取委と合同で、悉皆的な書面調査を実施。これらによって把握した情報等を元に、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法に基づき、取引の売手側である中小企業・小規模事業者全体に対し、転嫁拒否行為を受けていないか情報収集するための書面調査の実施など、転嫁拒否行為に対して迅速かつ厳正に対処している。
また、特定事業者(買手側)の転嫁拒否行為に対する監視・取締りを実施。2013年10月から2018年9月末までの累計(公取委との合算)で、1万754件の調査に着手した結果、指導を4289件(うち大規模小売事業者に対するものが161件)、措置請求を12件、勧告を49件(同9件)行った。措置請求は中小企業庁、勧告は公取委が実施するもので、これまでに措置請求を行った12件は、公取委により全て勧告が行われている。
勧告及び指導件数を行為類型別にみると、「買いたたき」が3946件(うち勧告46件)で全体の約89%を占めて最多、次いで、「本体価格での交渉の拒否」258件、「減額」176件(同3件)、「役務利用・利益提供の要請」72件となっている。また、勧告及び指導件数を業種別にみると、「製造業」が996件(うち勧告1件)で最多、次いで、「その他(事業サービス業や娯楽業等)」705件(同13件)、「建設業」601件(同4件)と続いている。
勧告された事例では、就職、転職等のポータルサイトの運営等の事業を営む(株)マイナビがある。同社は、個人事業者や法人事業者に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに、(1)原稿作成業務の委託料、(2)著作物の使用料、(3)広告販売促進業務の委託料、(4)講演業務の委託料を据え置いて支払ったとして、今年6月21日に「買いたたき」として、中企庁長官からの措置請求が行われ、公取委により勧告されている。
なお、消費税の転嫁状況を定期的に把握するため、モニタリング調査を実施しているが、2018年8月の書面調査結果(有効回答数8592者)では、転嫁状況について、事業者間取引では88.2%(6月調査比▲0.1ポイント)、消費者向け取引では78.9%(同+0.7ポイント)の事業者が「全て転嫁できている」と回答。また、「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では2.4%、消費者向け取引では3.2%だった。
この件は↓
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181026011/20181026011.html