パーソル総合研究所と中央大学は、共同研究として取り組んできた「労働市場の未来推計2030」の成果を発表した。それによると、2030年の労働市場は、労働需要7073万人に対し、労働供給(失業者61万人を除く)は6429万人にとどまり、644万人の人手不足が発生すると推計している。また、2017年6月末時点の人手不足は121万人だが、2020年は384万人、2025年は505万人と深刻化が進むと見込んでいる。
産業別にみると、人手不足が最も生じるのは「サービス業」で400万人、次いで「医療・福祉」187万人、「卸売・小売」60万人、「製造業」38万人と続き、12産業中、「農林水産業、鉱業」(2万人供給過多)を除き、11産業で人手不足が生じると推計。また、職業別にみると、人手不足が最も生じるのは「専門的・技術的職業従事者」で212万人、次いで「事務従事者」167万人、「運搬・清掃・包装等従事者」90万人となっている。
都道府県別にみると、人手不足が最も生じるのは「東京都」で133万人、次いで「神奈川県」54万人、「千葉県」と「愛知県」が36万人、「埼玉県」28万人、「静岡県」24万人、「兵庫県」22万人と続く。対して、47都道府県中、唯一「徳島県」のみは人手不足が生じず、次いで「島根県」1万人、「鳥取県」、「岡山県」、「香川県」の各県は2万人、「奈良県」、「山口県」、「高知県」の各県は3万人と人手不足が少ない。
2030年に生じると推計される644万人の人手不足の対策として、「働く女性」を増やすこと、「シニア」を増やすこと、「外国人」を増やすこと、「AI等の技術革新による生産性向上」の4対策を提案している。具体的には、「働く女性」を102万人、「シニア」を163万人、「外国人」を81万人それぞれ増やし、「AI等の技術革新」で298万人を代替できれば、644万人の不足を埋められるとしている。
例えば、2030年時点で働く女性を102万人(M字カーブをなくすように、女性の25~29歳の労働力率88.0%が45~49歳まで継続すると仮定した場合の数)増やすためには、未就学児童の保育の受け皿として、116.2万人分追加する必要があると指摘。現状(2017年4月時点)の保育の受け皿は273.5万人分であり、合計389.7万人分必要となると試算している。
「労働市場の未来推計2030」は↓
https://rc.persol-group.co.jp/news/files/future_population_2030_2.pdf