今春初任給を引き上げた企業は大幅増の59%~経団連

 日本経団連が発表した「2018年3月卒新規学卒者決定初任給調査」結果(有効回答数472社)によると、今年3月に卒業した新規学卒者の新入社員の初任給を前年より「引き上げた」企業は59.0%と2年ぶりに半数を超え、昨年から11.2ポイント増と大幅に増加し、50%台後半の高い水準を維持していることが分かった。内訳としては、「賃金改定後引上げた」が80.0%と大勢を占める傾向に変化はない。

 一方、初任給を据え置いた企業の割合は、1994年(17.6%)~2003年(91.4%)にかけて多少の変動をしながら増加。04年(88.3%)~08年(52.0%)は景気回復等により減少傾向となったが、08年秋からの世界同時不況等の影響で09年(87.0%)に急増し、以降10年から13年まで4年連続で9割を超えていた。今年は、17年(51.7%)から10.9ポイント減少し、40.8%に低下した。

 初任給の決定に当たって最も考慮した判断要因は、この項目の調査を開始した2007年以降、「世間相場」(27.6%)と回答する企業が最も多く、「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(21.1%)が2番目に多い傾向に変化はないが、「人材を確保する観点」から決めた企業(19.1%)については、2012年(7.7%)からは6年連続で増加。人手不足などを背景に、人材確保を優先的に考慮して初任給額を決定する企業が年々増えてきている。

 学歴別の初任給の引上げ額は、全ての学歴で前年を上回った。「高校卒・事務系」が1929円で最も高く、次いで、「大学卒・事務系」(1869円)、「大学院卒・技術系」(1789円)と続く。対前年引上げ率においても、全ての学歴で前年を上回り、0.76(大学院卒・事務系)~1.16%(高校卒・事務系)となった。初任給の推移をみると、リーマン・ショックの影響などにより2009年から低水準が続いたが、2014年以降は高い伸び率が続いている。

 大学卒・事務系の初任給を産業別にみると、製造業平均は21万3280円で全産業平均(21万3743円)を下回り、個別では10産業中、「紙・パルプ」の22万433円と「化学・ゴム」の21万8801円の2産業のみが全産業平均を上回った。一方、非製造業平均は21万4325円と全産業平均を上回り、6産業中、「土木建設業」(22万1271円)、「金融・保険業」(21万6726円)、「卸売・小売業」(21万5269円)など4産業で全産業平均を上回った。

 同初任給調査は↓
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/092.pdf