食品企業の約6割が電子商取引(EC)に取り組む

 日本政策金融公庫が食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)を対象に電子商取引(EC)の取組み状況について7月1日時点で実施した「食品産業動向調査」結果(有効回答数2498社)によると、62.8%と約6割の食品企業がECに取り組んでいることが明らかになった。また、食品関係企業の販売額に占めるECの割合は、「1%~20%」が51.9%、「20%超」が10.9%となった。

 「ECに取り組んでいない」企業は全体では37.2%だった。また、販売額に占めるECの割合を業種別(製造業、卸売業、小売業)にみると、「卸売業」は他業種に比べて「20%超」の割合が14.6%(製造業9.3%、小売業11.2%)と高い一方で、「ECに取り組んでいない」割合も45.7%(製造業34.2%、小売業34.8%)と高く、ECを活用している企業とそうでない企業が二極化していることがうかがえる。

 ECに取り組む食品企業に対して、今後のECの取扱いに関する意向を聞いたところ、「今後、取引を拡大していく」と回答した企業は55.7%となり、半数以上がECを拡大する意向であることが分かった。さらに、「今後、EC取引を拡大していく」と回答した企業に対して、販売額に占めるECの割合の目標を聞いたところ、「20%超」と回答した企業は37.7%となり、現状(18.4%)の約2倍となった。

 ECの取組みについて「今後、取引を拡大していく」と回答した企業のEC拡大にあたっての物流面での課題は、「現状のままで対応可能」との回答は34.3%にとどまり、約65%の企業で物流面に課題があることが分かった。課題の内容は、「共同輸送等、他企業との連携強化」(24.0%)が最多となり、次いで「新技術の導入(物流作業の自動化など)」(22.4%)、「労働力確保」(20.5%)となった。

 特に、卸売業においては「共同輸送等、他企業との連携強化」(38.5%)を多くの企業が課題に挙げている。さらに、卸売業を売上規模別にみると、売上高が50億円以上の企業では「現状のままで対応可能」は18.9%にとどまるなど、大規模な卸売企業のほうがECを拡大させるうえで物流面に課題があることがうかがえる。また、小売業においては、物流作業の自動化や情報システムの高度化などの「新技術の導入」(28.4%)が最も多い。

 同調査結果は↓
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_181016a.pdf