採用時最低時給は975円、最低賃金を101円上回る

 帝国データバンクが発表した「最低賃金改定に関する企業の意識調査」結果(有効回答数9746社)によると、最低賃金の改定を受けて、自社の給与体系を「見直した(検討している)」企業が44.0%となり、「見直(検討)していない」の40.0%を4.0 ポイント上回った。企業の4割超で最低賃金改定に伴い給与体系を見直しており、最低賃金の改定が時給表示された2002年以降で最大の上げ幅となった影響が如実に表れる結果となった。

 従業員を採用するときの最も低い時給は、全体平均では約975円となり、改定後の最低賃金の全体平均874 円を101円上回る金額となった。業界別にみると、情報サービスが1100円台となるなど「サービス」が約1016円で最も高く、「建設」(約1003円)」、「不動産」(約1009円)で1000円を上回った。他方、「農・林・水産」(869円)や「小売」(905円)で低かった。

 都道府県別で比較すると、最も採用時の最低時給が高かったのは「東京都」で約1071円、以下、「神奈川県」(約1048円)、「大阪府」(約1010 円)と続き、いずれも1000円台となった。他方、改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が最大だったのは「大分県」で、差額は+203 円(採用時の最低時給約965 円)。以下、「愛媛県」、「長崎県」、「佐賀県」、「青森県」が続き、西日本を中心に最低賃金と採用時の最低時給の差額が大きくなっている。

 今回の最低賃金の引上げ額は、労働者やその家族が最低限度の生活を維持していくうえで、妥当と思うか尋ねたところ、「妥当」と回答した企業が43.8%にのぼり、「低い」(15.2%)を28.6 ポイント上回った。また、「高い」は13.7%にとどまっており、人件費の増加要因となる改定にもかかわらず、今回の最低賃金の引上げ額は総じて受け入れられている様子がうかがえる。

 なお、2018年度の一人当たり賃金引上げの実施では、「定期昇給」で賃上げした企業が62.2%と最多、「賞与(一時金)」(36.4%)、「ベースアップ」(33.4%)が続いた。また、「各種手当の増額・新設」が11.1%、創立記念日等の祝金や通勤定期等の現物支給などを含む「その他の賃金の増額」が2.7%となり、何らかの形で賃金を引き上げた企業は83.1%にのぼった。他方、「賃金の引上げは行っていない」(12.0%)は1割程度にとどまった。

 同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181003.pdf