現在の経営課題は「収益性向上」や「人材の強化」

 日本能率協会が発表した「当面する企業経営課題に関する調査」結果(有効回答数458社)によると、2018年度の現在の経営課題は、第1位「収益性向上」(43.2%)、第2位「人材の強化」(39.5%)、第3位「売上・シェア拡大」(36.2%)の順となった。昨年度に比べると、「人材の強化」の比率が3.6ポイント増加し、順位を上げている。また、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」も10位から7位へと順位を上げている。

 足元の人手不足に対応するとともに、働き方改革による生産性向上や多様な働き方への対応のみならず、中長期的な事業の成長を支えるためにも、人材の確保・育成、社員の意欲向上を重要視していることが背景にあるとみられる。第4位に挙げられている「新製品・新サービス・新事業の開発」は、昨年度から3.2ポイント増加し、盛り返している。既存の事業が伸び悩むなか、成長を具体化する方策として、課題認識が高まっているようだ。

 今後の経営に影響を及ぼすと思われる要因について、「非常に影響がある」と答えた比率が高い項目は、「人材採用難」(31.2%)と「人件費高騰」(21.8%)だった。いずれも、「やや影響がある」までを含めると、9割を超える企業が「影響がある」と回答しており、現在の経営課題として「人材の強化」の重要度が高まっている通り、経営にとって、人材不足の問題が深刻化していることが浮かび上がっている。

 各分野への現在の投資スタンスは、「IT・ソフトウェア投資」について、増やすと答えた比率は75.1%となった。デジタル技術の進展に対応するために、積極的に投資をしようという意欲がうかがえる。また、「人材投資」についても、増やすとする比率の合計が74.6%となった。現在の経営課題としての人材不足に対処するとともに、将来に向けた人材強化のためにも、人材に対する投資を増やそうというスタンスが浮かび上がったと言える。

 働き方改革に関連して、副業・兼業へのスタンスは、「奨励している」、「ある程度奨励している」とする企業は5.5%にとどまった。一方で、「奨励していない」とする企業が7割を超え、「あまり奨励していない」を含めると9割に達する。ただし、厚生労働省が示すモデル就業規定において副業・兼業を禁止する項目が削除されたほか、一部の企業では、副業・兼業を積極的に容認している取組みが見られるなど、関心は高まっているとみられる。

 同調査結果は↓
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2018/10/08a4059c84f4a54efcc261563bf889df.pdf