出版取次・書店経営、売上規模10億円未満が約9割

 帝国データバンクが発表した「出版取次・書店経営業者の経営実態調査」結果によると、2012年度から2017年度まで売上高が判明した出版関連業者2172社の総売上高は2兆5906億3000万円(前年度比4.3%減)で、2年連続で減収した。同調査は、同社の企業概要ファイル「COSMOS2」(約147万社収録)から、2018年8月時点での出版取次及び書店経営を主業とする企業2528社を抽出し、総売上高動向、企業実態等を分析したもの。

 総売上高2兆5906億3000万円のうち、出版取次は1兆3860億8900万円(同6.2%減)で5年連続で減収。書店経営は1兆2045億4100万円(同2.1%減)で、2015年度に一時増収となったが、その後2年連続で減収している。全国出版協会によると、2017年の電子出版販売金額は2215億円で前年比16.6%増と、紙から電子への移行が顕著となっている。こうしたなか、特に出版取次に打撃を与えている。

 売上規模別でみると、「1億円未満」が1071社(構成比49.3%)と全体の約半数を占めた。出版取次722社でみると、「1億~10億円未満」が375社(同51.9%)、次いで「1億円未満」が266社(同36.8%)となった。書店経営1450社でみると「1億円未満」が804社(同55.4%)、「1億~10 億円未満」が519 社(同35.8%)といずれの業種も売上高10億円未満の業者が全体の約9割を占めた。

 業歴が判明した2527社をみると、「50~100年未満」が1159社(構成比45.9%)で最も多く、次いで「30~50年未満」が673社(同26.6%)だった。このうち、出版取次859社では「50~100年未満」が415 社(同48.3%)、書店経営1668社でも「50~100年未満」が744社(同44.6%)で最多となった。業界として新規参入業者が少なく歴史のある企業が多いことが分かる。

 従業員数が判明した2095社をみると、「1~10人未満」が1632社(構成比77.9%)で最多。出版取次、書店経営それぞれの業態をみてもともに75%以上の企業が「1~10人未満」と少数で運営。また、出版取次、書店経営業者2528社を都道府県別にみると、「東京都」が362社(構成比14.3%)、「北海道」(130社、同5.1%)、「大阪府」(118社、同4.7%)と続く。出版取次、書店経営それぞれの業種で「東京都」が100社を超えた。

 同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180905.pdf