再調査の請求・訴訟等の納税者救済・勝訴割合は9.9%

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が20日に公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2017年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.9%となった。

 再調査の請求の発生件数は、消費税(30.8%増の633件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から8.4%増の1814件となった。処理件数は、「取下げ等」208件、「却下」200件、「棄却」1105件、「一部取消」173件、「全部取消」40件の合計1726件(前年度比4.4%減)。納税者の主張が一部でも認められたのは計213件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を5.5ポイント上回る12.3%だった。

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税等(63.1%増の910件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から18.7%増の2953件となった。処理件数は、「取下げ」247件、「却下」186件、「棄却」1840件、「一部取消」148件、「全部取消」54件の合計2475件(前年度比26.3%増)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.1ポイント減の8.2%と大きく減少した。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(32.5%減の54件)や法人税(21.1%減の30件)などが減少したことから、全体では前年度を13.5%下回る199件だった。訴訟の終結件数は、「取下げ等」18件、「却下」17件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」10件、「国の全部敗訴」11件の合計210件(前年度比14.3%減)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同5.5ポイント増の10.0%と大きく上昇した。

 このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2017年度中に再調査の請求・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計4411件(前年度4009件)のうち436件(同375件)で、その割合は9.9%(同9.4%)と、審査請求は減少したが、再調査の請求や訴訟の納税者勝訴割合での救済割合が大きく増加したことから、前年度に比べて0.5ポイント増で推移している。

 2017年度における再調査の請求の概要は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/saichosa/index.htm 同審査請求の概要は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/shinsa/index.htm 同訴訟の概要は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/sosho/index.htm