町内保育所の勤務保育士等への支給助成金は源泉不要

 広島国税局は、A町が町内の私立保育所に勤務する保育士等に対して支給する助成金の課税上の取扱いについて事前照会してきたことに対し、同助成金は雑所得に該当し、支払時の源泉徴収は不要であると回答したことを明らかにした。A町は、町内に所在する私立保育所に勤務する保育士、保育教諭及びその他の職員に対し、保育人材の確保、定着及び離職防止を図ることを目的として、A町保育士等助成金を支給する制度を設けている。

 同助成金は、保育士等が毎年3月1日に対象保育所に在籍し、一定の要件のもと継続勤務しているときに、年額3万円を支給するもので、助成制度の実施期間は、2017年4月1日から2020年3月31日までの3年間とし、支給対象期間は各年4月1日から翌年3月31日までの期間とする。A町は、同助成金について、その所得区分及びA町における源泉徴収の要否について事前照会した。同助成金の所得区分についてのA町の見解は以下の通り。

 所得税法上、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいうと規定している。A町と保育士等との間に雇用関係及びこれに類する関係はないことから、本件助成金は給与所得には該当しない。また、同助成金は、助成制度に基づき、A町から保育士等に対し3年にわたって支給することが予定されていることから、「一時の所得」に該当しないものと考えられる。

 そこで、同助成金は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得に該当する。また、源泉徴収が必要となる支払については、所得税法に限定的に列挙されているところ、同助成金は、所得税法に規定されている源泉徴収を要する支払のいずれにも該当しないことから、A町は同助成金の支払の際に、源泉徴収を要しないとの見解を示した。

 こうしたA町の「町が町内の私立保育所に勤務する保育士等に対して支給する助成金の課税上の取扱いについて」の事前照会に対し、広島国税局はそのA町の見解を認めている。

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http://www.nta.go.jp/about/organization/hiroshima/bunshokaito/shotoku/010/besshi.htm#besshi01