14.7%にとどまる事業継続計画(BCP)策定企業

 自然災害や情報セキュリティ事故などさまざまなリスクによる企業活動への影響を想定し、予め防災・減災対策、災害発生時や発生後の対応措置などを準備しておくことに対する重要性が高まっている。帝国データバンクが発表した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」結果(有効回答数:約1万社)によると、事業継続計画(BCP)の策定状況は、「策定している」企業が14.7%にとどまっていることが分かった。

 「策定している」企業に「現在、策定中」(7.4%)、「策定を検討している」(22.8%)を合わせても44.9%と半数に満たず、BCPの策定が進んでいない実態が浮き彫りとなった。BCPを「策定している」企業を業界別にみると、「金融」が最も高く39.0%、次いで、「農・林・水産」が21.2%で2割を超えていた。他方、1年前は9.5%にとどまっていた「不動産」は、10.3%と1割を上回ったが、いまだ業界別では最も低い割合だ。

 「策定している」、「現在、策定中」、「策定を検討している」企業のうち、事業の継続が困難になると想定しているリスク(複数回答)は、「自然災害(地震、風水害、噴火など)」(69.1%)、「設備の故障」(40.7%)、「火災・爆発事故」(35.4%)、「情報セキュリティ上のリスク」(35.1%)が上位。事業中断リスクに備えて実施・検討していること(複数回答)では、「従業員の安否確認手段の整備」(71.2%)がトップとなった。

 BCP策定の効果(複数回答)については、策定済みの企業では、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」が42.7%でトップ。以下、「事業の優先順位が明確になった」(37.7%)、「取引先からの信頼が高まった」(28.5%)、「業務の改善・効率化につながった」(27.1%)が上位に挙げられた。「その他」を除くすべての項目で前年より上昇しており、BCP策定の効果を実感する企業が徐々に広がりをみせている様子がうかがえる。

 一方、BCPを「策定していない」理由(複数回答)については、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が44.0%でトップ。また、「策定する人材を確保できない」(30.6%)や「策定する時間を確保できない」(24.7%)など、人材や時間の不足が策定できない理由と考えている企業が多く、さらに、「書類作りで終わってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(26.1%)といったより実効性に対する困難さも上位に挙げられた。

 同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180603.pdf