2017年決算上場2681社の平均年間給与は599.1万円

 東京商工リサーチが発表した「上場企業の平均年間給与調査」結果によると、2017年決算の上場2681社の平均年間給与は599万1000円(中央値586万3000円)で、前年から
3万8000円(0.6%)増と6年連続で前年を上回った。ただ、増加率は2年連続で前年を下回り、縮小している。これは2681社のうち、1622社(構成比60.4%)で従業員数が増えており、積極的な人材採用も平均給与の伸び率鈍化につながった一因とみられている。

 上場2681社のうち、平均給与が前年より増えたのは1614社(構成比60.2%、前年1661社)で6割を占めた。一方、減少したのは1048社(同39.0%、同1001社)、横ばいは19社(同0.7%、同19社)だった。平均給与の「増加」企業数は6割を占めたが、社数は前年より47社(2.8%減)減少した。一方、「減少」は47社(4.6%増)増えており、明暗を分けた格好となった。

 上場2681社の平均給与の増加率をみると、最多レンジは「0.0%超~1.0%未満」で427社(構成比15.9%、前年360社)だった。増加率10.0%以上は前年と同数の96社で、同1.0%以上から10.0%未満の各区分では社数は減少した。減少率の最多レンジは、「0.0%超~1.0%未満」で328社(同12.2%、同316社)。減少率は、4.0%以上~5.0%未満を除くすべての区分で社数が前年を上回った。

 業種別の平均給与では、最高が「建設業」の695万3000円(中央値694万9,000円)で、2年ぶりにトップに返り咲いた。一方、最下位は7年連続の「小売業」で475万円(同463万8000円)だったが、4年連続で前年を上回った。小売業は建設業と並ぶ“雇用の受け皿”の側面を持ち、新卒や非正規社員数が多く全体給与が押し下げられやすいが、深刻な人手不足で待遇改善に動いていることがわかる。

 増加率トップは、「電気・ガス業」(前年比2.8%増)、次いで「建設業」(同2.7%増)で、2業種は2.0%以上の伸び率だった。電気・ガス業は、東日本大震災で経営環境が悪化したが、ここにきて給与・賞与の改善が進んだ。建設業は、好調な業績が業界全体に波及していることを裏付けた。減少は、「金融・保険業」と「不動産業」の2業種で、いずれも同調査を開始した2011年以降で初めての減少となった。

 同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180521_01.html