3月期決算「GC注記」0も「重要事象」初記載8社

 東京商工リサーチのまとめによると、5月18日までに2018年3月期の決算短信を開示した上場企業のうち、「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイングコンサーン注記、GC注記)を当期決算で初めて記載した企業はゼロだった。一方、GC注記に至らないまでも、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」(以下、重要事象)を初めて記載した上場企業は8社あった。

「サノヤスホールディングス(株)」(東証1部)は中核の造船事業の採算悪化が響き、金融機関とのシンジケートローン契約上の財務制限条項に抵触。また、低価格中華料理チェーン「幸楽苑」などを手掛ける「(株)幸楽苑ホールディングス」(同)も店舗の減損損失がかさみ、多額の当期損失を計上、金融機関と締結した財務制限条項に抵触した。今後は人気ステーキチェーン「いきなり!ステーキ」のFC展開などの多角化で再建を図る。

 「重要事象」8社のうち、借入金に関して金融機関からの財務制限条項に抵触したケースが3社あった。いずれも金融機関の了解・合意を取り付けている。また、継続的な赤字計上を理由とするケースが5社だったが、今後の対応策などが取れているとして重要事象にとどまり、GC注記には至らなかった。ただ、いずれも巨額の赤字計上など深刻な業績不振の1年だったことに変わりはなく、業績回復に向けた今期の取組みに注目が集まる。