国産食品等の輸出支援事業、開始5年で200件を突破

 日本政策金融公庫はこのほど、農林水産事業が国産農水産物・食品の海外販路開拓を後押しする「トライアル輸出支援事業」の2017年度の支援実績が、輸出先6ヵ国・地域、件数55件となり、2013年度の取組み開始以降、最高の支援件数となったことを明らかにした。また、同事業を開始してから5年間の支援件数は209件(2018年3月末時点)となり、200件を突破した。

 2017年度の輸出先別の支援実績は、「台湾」が30件(昨年度10件)と前年度から3倍増加して最も多く、次いで「シンガポール」が11件(同8件)、「マレーシア」7件(同8件)、「香港」5件(同3件)、「マカオ」1件(同5件)、「米国」1件(同3件)となった。2017年度の動向としては、台湾への輸出支援件数が前年の3倍に伸びたことが特徴的な動きとなっている。

 台湾への輸出については、従来から支援要請が強かったことを受け、日本公庫が台湾の食品市場の視察を企画し、お客様に現地の状況やトレンドを紹介するなどの支援も行った。台湾への輸出支援の対象品目は、2017年9月に輸出解禁となった和牛のほか、人参、メロンなどの農産物、アイスクリーム、チーズなどの乳製品、トマトジュース、あんぽ柿、にんにくオリーブ、せんべいなどの加工品が中心となった。

 2018年度は、台湾、シンガポールなどに加えて、日本産食材は浸透しているものの、日本公庫による支援が十分に行き届いていなかった「タイ」、「韓国」に向けた輸出への支援と今後の需要拡大が見込まれる「EU域内」への輸出支援の充実を図るべく、日本公庫は新たに貿易商社等4社と提携を結んだ。これにより、2018年度の「トライアル輸出支援事業」の提携先は、計17社となった。

 トライアル輸出支援事業とは、農水産物・食品の輸出ノウハウを持つ貿易商社と連携することにより、輸出に意欲のある取引先を支援するもの。具体的な支援の流れは、日本公庫が、輸出に意欲のある農水産業者・食品企業と貿易商社とのマッチングを行い、貿易商社が事前にトライアル輸出が可能かどうかの見極めを実施。輸出可能と判断した場合には、貿易商社が以下の(a)~(d)まで一貫したサポートを実施する。

 (a) 輸出前の事前準備(ラベル表示作成指導等)支援、(b) 検疫や税関における各種の手続き支援、(c) 海外の販売先との商品価格交渉などの側面支援、(d) 輸出後の販売状況のフィードバック。なお、トライアル輸出支援事業の支援対象者は、(1)農水産業者又は食品企業で、日本公庫農林水産事業資金の残高の事業者、(2)これまで輸出実績がない国に対して、輸出を取り組もうとしている事業者である。

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https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_180518a.pdf