東京都は、現在課税を停止している「宿泊税」について、来月10月1日より課税を再開することを周知している。都の宿泊税は、2002年10月1日に導入された法定外目的税。旅館業法で定められ都知事の許可を受けているホテル業や旅館営業を行う施設を対象に、宿泊料金(1人1泊)が「1万円以上1万5千円未満」で100円、「1万5千円以上」で200円を課税するもの。1人1泊1万円以下の宿泊は課税されない。
宿泊税の目的は、国際都市東京の魅力を高めるとともに観光の振興を図る施策に要する費用に充てること。ホテル又は旅館が宿泊者から宿泊料金とともに徴収して東京都に納める。2018年度の税収は27億円にのぼる。同税は、『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会』の開催に伴う大会関係者やボランティアの宿泊費負担の軽減等のため、当初は昨年7月1日から9月30日までの3ヵ月間に限り課税停止する予定だった。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延によるオリンピック・パラリンピックの大会延期を受けて、東京都では課税停止期間を延長する条例の改正が行われ、今年9月30日までの間に行われた宿泊に対する宿泊税までの課税を停止している。課税停止終了を「2021年9月30日」まで延期した結果、15ヵ月もの間、東京都の宿泊税は課税停止されることになった。
しかし、オリンピック・パラリンピックも終了したことから、2021年10月1日からは予定通り東京都の宿泊税の課税が再開される。再開に当たり、課税開始から20年が経過し、税額(税率)については、今後見直しが行われる可能性がある。1人1泊1万円未満の宿泊は非課税という免税制度がなくなるか、または、2017年以降に宿泊税を導入した他府県等の税額(最高1000円)並みの引上げが行われるか、注目される。
なお、課税の再開に伴い気になるのが、宿泊税の課税停止期間が終了する今月末をまたいで宿泊した場合だ。例えば、9月29日にチェックインして10月4日にチェックアウトした場合は、9月29日、30日の2泊分に対しては課税されず、10月1日~3日の3泊分に対して課税されることになる。つまり、ホテルの経営者等の徴収義務者は、課税停止期間をまたぐ宿泊があった場合、課税再開前の宿泊について、納入申告する必要がないわけだ。