日本政策金融公庫が、信用保証利用企業動向調査の中で全国の信用保証協会利用先を対象に6月中旬に実施した「新型コロナウイルス感染症の影響及び金融支援の利用状況等についての特別調査」結果(有効回答数5721社)によると、新型コロナウイルス感染症による企業活動へのマイナスの影響については、「現在影響あり」と回答した企業は70.2%と、20年4~6月期以降7割前後で推移している。
業種別に現在マイナスの影響がある企業割合をみると、「小売業」(78.7%)、「製造業」(77.0%)、「卸売業」(76.4%)、「サービス業」(74.4%)が軒並み8割近くを占める中で、「建設業」は「現在影響あり」が52.2%と他業種と比べて低い割合となっている。マイナスの影響が「回復の兆しなし」の割合を従業員規模別にみると、「0~2人」が46.2%、「3~5人」が39.6%など、従業員規模が小さな企業ほどが高くなっている。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う資金繰り対策として、21年4~6月に金融支援を「利用した」と回答した企業は25.7%と低下。また、利用した金融支援(複数回答)をみると、「信用保証付き融資」が67.1%と最も高い。金融支援を利用した理由(同)は、「既存の取引先への支払・返済など取引継続のため」が61.7%と最多、次いで「人件費支払など従業員の雇用維持のため」が54.9%で続き、回答割合は、いずれも5割を超えている。
今後の金融支援の利用に係る検討状況については、「検討している」と回答した企業は33.8%にとどまり、「検討していない」と回答した企業が66.2%と6割を超えた。「検討していない」と回答した企業の主な理由(複数回答)としては、「借入や各種給付金等により手元余裕資金があるため」(37.2%)が最も多く、次いで「借入を増加することによる返済の不安があるため」(30.8%)が続き、いずれも3割を超えている。
今後、必要とする各種支援(複数回答)については、「金利・返済負担を軽減するための借換や条件変更対応」が61.4%と6割を超えている。金融支援を必要としている企業について、金融機関への相談状況をみると、相談している企業の割合は36.6%と3分の1程度であるものの、金融機関へ相談している企業においては、「大いに満足している」(11.5%)と「満足している」(53.4%)を合わせると65.0%となっており、満足度は高い。
同特別調査結果は↓