国税庁は、法人版事業承継税制(非上場株式等の納税猶予制度)の適用を受けている納税者に向け、年次報告書及び継続届出書の「報告基準日」について、申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されることから注意を喚起している。同制度の対象会社は、都道府県知事へ経営状況等についての年次報告書を提出し、都道府県知事の確認を受けた上で、その写しを所轄税務署へ継続届出書を提出する際に添付する必要がある。
継続届出書の提出は、経営承継期間中は1年ごと、その後は3年ごととなっている。そして、この年次報告書は、同制度の適用に係る贈与税又は相続税の申告期限の翌日から1年を経過するごとの日(報告基準日)における対象会社の経営状況等を記載する必要があり、申告期限が延長されている場合は、延長後の申告期限に基づく報告基準日における対象会社の経営状況等を記載する必要があるという。
また、災害の発生や新型コロナウイルス感染症の影響により、贈与税又は相続税の申告期限が延長されているにもかかわらず、その延長前の申告期限を基にした報告基準日に基づく年次報告書を作成・提出している場合、法令上必要となる報告基準日における対象会社の経営状況等について確認できないこととなってしまう。そのため、国税庁では、年次報告書の再提出を求めている。
既に延長前の申告期限を基にした報告基準日に基づいて年次報告書を提出している場合には、改めて延長後の申告期限を基にした報告基準日に基づく年次報告書を再度作成の上、都道府県知事への再提出をする必要がある。再提出した年次報告書は、改めて都道府県の確認を受けることとなる。また、所轄税務署にも継続届出書とともに既に提出済の場合には、上記により再提出した年次報告書の写しを所轄税務署にも提出する必要がある。
さらに、年次報告書及び継続届出書を提出される際には、非上場株式等の納税猶予制度の適用に係る贈与税又は相続税の申告期限が延長されていないか、改めて確認し、延長後の贈与税又は相続税の申告期限を基にした報告基準日に基づき作成・提出するよう要請している。なお、都道府県に認定申請書を提出した後に申告期限が延長された場合は、認定申請書上は延長後の申告期限が記入されたものとみなし、認定申請書の再提出は不要という。
法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を相続等により取得した場合、一定要件のもとその納税を猶予し、後継者の死亡等により猶予されている相続税等の納付が免除される制度。2018年度改正では既措置に加え、10年間の措置として納税猶予対象の非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等の特例措置が創設された。
この件については↓