上場企業の2020年3月期決算で、1億円以上の役員報酬の開示は256社、人数は531人だったことが、東京商工リサーチが発表した「上場企業の役員報酬1億円以上開示企業調査」の最終結果で分かった。3年連続で増加をたどり、過去最多を記録した前年同期より、社数で25社(前年同期281社)、人数で40人(同571人)、それぞれ減少した。前年同期を下回ったのは、社数が4年ぶり、人数が8年ぶりとなる。
役員報酬額のトップは、住友不動産の高島準司元会長の22億5900万円。報酬内訳は、基本報酬6500万円、退職時報酬21億9400万円で、過年度に留保されていた退職時報酬が支払われた。2位は、ソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COOの21億1300万円(前年同期18億200万円)。SB Group US Inc.とスプリントからの報酬で、基本報酬15億2700万円、株式報酬3億300万円ほか。
3位は、武田薬品工業のクリストフウェバー社長の20億7300万円。基本報酬は2億7300万円だったが、賞与6億7500万円、長期インセンティブ11億2500万円などの業績連動報酬と非金銭報酬が大半を占めた。4位はソフトバンクグループのラジープ・ミスラ副社長の16億600万円、5位はトヨタ自動車のDidier Leroy取締役の12億3900万円の順だった。
上位10人では外国人役員が過半数の6人を占め、グローバルな人材確保で報酬の高額化が定着しつつある。日本人役員は、役員退職慰労金で多額の報酬を得るケースが多い。一方、外国人役員は、賞与や業績連動報酬のほか、ストックオプションや株式報酬など非金銭報酬で多額の報酬を得るケースが目立つ。最近は退職慰労金制度を廃止する企業も増え、グローバル企業で多くみられる業績連動の報酬体系に移行しつつある。
業種別で、社数は「製造業」が137社(構成比53.5%、前年同期148社)で最多。次いで、「運輸・情報通信業」27社(同10.5%、同28社)、「卸売業」20社(同7.8%、同24社)の順。開示人数は、最多が「製造業」の272人(同51.2%、同318人)。以下、「金融・保険業」63人(同11.8%、同48人)、「運輸・情報通信業」52人(同9.7%、同52人)と続く。
役員報酬を開示した256社のうち、人数の最多は「日立製作所」の18人(前年同期17人)。2017年3月期まで一ケタにとどまったが、2018年3月期以降は18→17→18人で推移し、開示制度が始まった2010年3月期以降、初めてトップとなった。2位は、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の10人で、前年同期8人から2人増。前年同期トップの「三菱電機」は1人(同21人)に大幅に減少した。
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