地財審、所有者不明の場合は土地使用者に課税を提案

 総務省の地方財政審議会は20日、「2020年度地方税制改正等に対する意見」を高市早苗総務大臣に提出した。意見では、今後の地方税制の改革に当たっては、景気が拡大する中で地方税収も2018年度は過去最高となったものの、同年度末の地方財政の借入金残高は196兆円と高止まりの状況にあることから、持続可能な地方税財政基盤確立の観点から、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むことが重要とした。

 来年度税制改正等への主な対応をみると、政府全体で取り組んでいる所有者不明土地等については、固定資産税の課税実務においても所有者情報の把握の円滑化等の課題とされており早急な対応が必要と指摘。特に、所有者が不明な場合には、課税の公平性の観点から、震災等の事由と同様に、使用者を所有者とみなして課税できるように、適用範囲の拡大等の措置を検討することを提案している。

 また、2020年度税制改正要望において文部科学省や関係業界団体が、ゴルフ人口の拡大、生涯スポーツとしてのゴルフ振興、健康寿命の延伸の観点等から、非課税項目にある「18歳未満の者、70歳以上の者」とされている非課税対象項目について、それぞれ「30歳未満の者 、65歳以上の者」への拡充等を求めていることについては、非課税措置の拡充は不適当で現行制度を堅持すべきと意見した。

 その理由として、すでに18歳未満の年少者及び70歳以上の高齢者等を非課税とする措置が設けられており、ゴルフ人口の裾野の拡大や生涯スポーツの実現にも十分な配慮がなされており、また、担税力のある成人も含めて30歳未満の者を一律に非課税とすることや、健康寿命が延び元気なお年寄りが増えている中で65歳以上の者に対象を拡充することには合理性がないとの考えを示している。

 そのほか、(1)税務手続きの電子化は、結果的に地方自治体ごとに異なる税務手続きの標準化を進め、社会的なコスト低減につながるから、推進すべき、(2)企業版ふるさは、企業と地方自治体の連携強化のための支援策として効果的であるから、延長・制度を拡充すべき、(3)ふるさと納税は、それぞれの地域資源を最大限活用し、これまで以上に創意工夫を凝らした取組みが幅広く展開されるよう促進すべき、などの意見も盛り込まれている。

 「2020年度地方税制改正等に対する意見」は↓

http://www.soumu.go.jp/main_content/000655603.pdf